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Date: Thu, 15 Apr 1999 10:46:37 +0900
From: ソード <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12634] [HA06:EP: 『トラブル対応』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904150146.KAA05350@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12634
99年04月15日:10時46分35秒
Sub:[HA06:EP:『トラブル対応』:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
本分身の方がすっかり影が薄くなっているので、前に書こうと思っていたの
を掘り起こしてきました。
日常……なのかなぁ……仕事の話です。
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エピソード 『トラブル対応』
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登場人物
御剣 司(みつるぎ・つかさ)
電操士。大手情報システム会社に出向中。
09:30
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司 :「おはようございます」
いつものように、出勤する。この会社に出向するようになってから数ヶ月。
既に仕事にも慣れ、簡単なシステムの開発も任される事がある。
その日は、何事もない1日だった。彼の担当する「売上」の業務は、余程の
事がない限り問い合せも無い。大きいが、安定したシステムである。
店舗600を超える大手であるが、完成したシステムを小修正するだけの開
発部署など、やる事は少ない。それゆえか、開発部署にも関わらず、運用、保
守も行っていた。
10:30
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社員 :(電話を取る)「ありがとうございます……」
その日最大のイベントがやってきた。それは、1本の電話から始まった。
電話を取った社員が、上司に報告する。フロア全体に、緊張が走る。
上司 :(フロア全体に聞こえるように)「すみません。2店舗で
:レジが全台使用不可だそうです。何か情報を握っている人
:がいたら、私のところまで」
司 :「……(こいつは……大変だ)」
他人事である。まあ、彼が原因ではないのだから、仕方ないのかもしれない
が……。
上司 :「10台づつレジを立ち上げなおしして、復旧させます」
司 :「げ……(本気かよ……という事は……)」
上司の復旧作業の方針に、司は絶句した。
社員 :「御剣さん」
司 :「はい」
社員 :「このまま続けるしかないんですが……」
司 :「ああ、クレジットの取引が半分以上欠落しますね」
社員 :「そうなんです。で、リカバリ用のプログラムの開発をお
:願いできますか?」
司 :「(本気かよ!明日完成だろ!?)分かりました。明日に
:は店に入れないといけないんですね。今日中に上げます」
社員 :「じゃあ、お願いしますね」
フロア全体でリカバリを行っている状況で、司だけが別の作業に入る。
欠落する予定のデータを救い、かつ整合性が取れるように復旧させる。
時間はない。しかし、それほど難しい処理ではない。
18:00
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司 :「……しまった、ロジック違うか?……なるほど……」
管内に定時の鐘が鳴る。社員達は、原因の追求と、事後処理のミーティング
中だ。既に、店の方の営業は普通に戻っているらしい。
司 :「……(機械語使えりゃな……面倒くさい)」
機械語の解せない人間のためのプログラム言語である。機械語を日常会話と
同様に理解している彼にとって、プログラム言語での開発など時間の無駄でし
かない。
しかし、協力会社である彼には、ソースプログラムの納品の義務がある。機
械語でいきなりプログラムを作るわけにはいかない。
社員 :「御剣さん、どう?」
司 :「ええ……テストも入れて、23時までにはあげます」
社員 :「じゃあ、お願いしますね」
22:30
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司 :「できた……」
テストでの結果を印刷した用紙を持って、しばし動きが止まる。
社員 :(テスト結果を見ながら)「OKですね。じゃあ、店に入れ
:といてください」
司 :「はい」
社員 :「で、明日なんですが、レジの立ち上げ前に流したいんで、
:7時30分出勤でおねがいできますか?」
疑問形を使っているが、反論の余地はない。
司 :「はい。分かりました」
司は、「表面上は」きわめて冷静に答えた。
9時間後には、またこの場所に出勤である。
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というわけで。
まあ、大きい会社の下っ端なんて、こんなもんですよね。