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Date: Tue, 13 Apr 1999 11:57:19 +0900
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12601] [HA06]nvl: 『口紅』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904130257.LAA04170@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12601
99年04月13日:11時57分17秒
Sub:[HA06]nvl:『口紅』:
From:久志
ども、久志です。
ふたたび『口紅』です。
てれてれ過去に流した奴を追加編集しながら
途切れた話の続きを考えてます(^^;)
『口紅』
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今日はついてなかった。
船越栄二は、ラッシュ時刻も終わり人のまばらになった電車内でじれったさ
を抑えていた。
夕べ遅くまでインターネットをしすぎて夜更かししてしまったこと。朝、目
覚まし時計で目を覚ましたのに、二度寝してしまったこと。おまけに定期がき
れてたこと、しかも今日の一時間目は小テストだということ。
列車のドアが開くと同時にダッシュでホームに降り、改札へと走る。もう、
同じ高校の制服姿はない。駅から学校までの道のり、そう長くない道を全速力
で走る。上履きに履き替えるのももどかしく、階段を駆け上がる。教室の近く
にくると、そろりそろりと足音をひそめてドアに近づく。もうテストは始まっ
ているだろうか？そっとドアに聞き耳を立ててみる、なにやら教室内が騒がし
い。そろそろと細目にドアを開けてみる、と。
「あれ、船ちゃん遅刻？」
甲高い素っ頓狂な声、クラスメイトの富良名裕也の声だ。
「なんだ、船越ラッキーだな」
教室内に先生はいない、自習の文字が黒板に大きく書かれている。思わず両
肩の力が一気に抜けた。
「助かった…」
どさりと荷物を机に置き椅子に崩れおちる。
「しっかし、自習ってことは、成田せんせどうしたんだ？」
「そうそう、成田先生、今日の朝倒れたんだよ」
クラス名物スナフキン愛好会三人組の一人、先ほどの富良名裕也が身を乗り
出してきた。
「倒れた？」
「そう！朝さあ、校門の前で僕たちと一緒に歩いてる時にいきなり倒れちゃっ
たんだよ」
大きな黒い瞳をくりくり動かして、身振り手振り力いっぱい解説している。
要するに運良く…先生の場合は運悪くだが…先生が急病になったおかげで一時
限目のテストは自習になったわけだ。脇から他のクラスメイトも口を出す。
「そーそー、教室から外見てたらいきなし救急車来てさ、びびったぜ。そした
ら成田センセが倒れたって副担の石川が血相変えて入ってきてさぁ、大騒ぎだ
ったんだぜ」
「成田せんせがねぇ、鬼の霍乱かぁ？」
先生には悪いが、おかげでテストサボりにならなくてよかった。ほっと胸を
なで下ろす。
「あれ？船越」
「ん？」
背後に、人の良さそうな糸目の男、クラス委員をやっている本宮だ。いつも
富良名、佐古田らとつるんでるスナフキン愛好会の一人。お人好しでクラスの
常識人でもある。
「船越、背中…ついてるぞ」
「あー船ちゃんも口紅ついてる」
「え？」
慌ててシャツを引っ張り、言われたところを見てみる。白いシャツに唇のし
わまでくっきりとつけられた口紅。白いシャツに鮮やかにつけられた深い赤。
「ひょー船ちゃん朝からお盛んだねー」
「うるせー」
いつ、つけられたんだろう。時間が遅かったから、電車もそう混んでいたわ
けでもないのに。
「船越、今なら自習だから平気だろ、トイレで落としてこいよ」
「ああ、サンキュ本宮。ちっきしょ、どこの誰だよ…」
やっぱり今日はついてない。べったりつけられた口紅、落ちるかどうか…
席を立って廊下に向かい…
…向かって…
目の前の本宮の顔がぐるぐると回っている。
いや、本宮だけじゃない…
あれ？
なんでみんな回ってるんだ？
目が…あれ…床が近づいてくる？
「おい船越っ！」
本宮の鋭い声が遠くに聞こえる、同時にあがる女子の悲鳴。
頬があたる冷たい、床の感触、そして、暗転。
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ふに、とりあえずいじょ。
しかし…前回倒れた先生も今回倒れた生徒もまーったくの適当に作った一般人(^^;)