[KATARIBE 12599] [HA06]nvl: 『口紅』その2

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Date: Tue, 13 Apr 1999 10:18:51 +0900
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12599] [HA06]nvl: 『口紅』その2 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904130118.KAA16881@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12599

99年04月13日:10時18分49秒
Sub:[HA06]nvl:『口紅』その2:
From:久志
  またまた久志です。
  続けて『口紅』その二を流します〜
ていうかほとんど他のキャラが出てないってのがなぁ(^^;)

『口紅』二話
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 極々普通の朝だった。
 成田正治はいつものように、顔を洗い、トーストをかじり、牛乳を一杯の簡
単な食事をすませ家を出た。
 駅までは徒歩7分、改札を通りホームにつくとまもなく電車到着のアナウン
スがなる、いつもどおり。電車はラッシュには早い時間なので、それほど混ん
ではいないがさすがに座席は空いていない。ドアに張り付くように立ちいつも
のドア際の手すりをつかむ。こちらがわのドアは目当ての駅まで開かない。一
駅、また一駅、停車するたびに人が増えドアに押し付けられる。まもなく押し
出されるようにホームに降り、流れるように改札を後にする。駅から学校への
道には二三見知った生徒の顔があった。
「成田せんせーっ、おはよー」
 背後から元気のいい声が聞こえる。自分の担任のクラスの子だ、振り向き片
手をあげる。
「ああ、おはよう富良名」
「おはようございます成田先生」
 一緒に登校していたもう一人のクラスメイトがぺこりと頭を下げる。元気な
のが富良名裕也、礼儀正しいのが本宮和久、その後ろにはいつも無口で無愛想
な佐古田真一、三人とも自分が担当するクラスの生徒達だ。この子達とは毎朝
のように登校時の道で顔を合わせている。そのまま一緒になって校門へ歩こう
とした時。
「あー、せーんせぇ、せ・な・か」
 突然、富良名が声を上げた。まるでいたずらっ子のような顔でシャツを指差す。
「あ、本当だ。成田先生、ここ」
 本宮がポロシャツの肩口を軽く引っ張った。その先には…
「あちゃ、やられたな」
 口紅の跡。
 右肩背中側についた跡。白いポロシャツに真っ赤な口紅、唇のすじまでくっ
きりと残っている。
「うわぁ、べったりくっついちゃってるぅ」
 参った、替えのシャツはもってない。これは生徒達に散々からかわれるだろう。
「先生、いまのうちなら石鹸でこすれば落ちるかもしれませんよ」
「そうだな、そ…」
 そこで急に言葉がとぎれた。

 何故か、それ以上言葉をつなげることができない。
 周りの景色がやけに色褪せて見える。
 平衡感覚が失われていく。

 何故?……なぜ?

「せんせぇっ!」
「成田先生っ!どうしたんですかっ!」
 生徒達の声がやけに遠くから聞こえてくる。自分の体がゆっくりと傾いでい
くのをまるで他人事のように感じながら。
 そこで完全に意識が途絶えた。
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  はい、事件始まり〜(笑)
ということでまた完結してないところをせっせと書かねば(^^;)





    

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