[KATARIBE 12579] [HA06][EP] 「明けない夜、まとめ2&続き」

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Date: Sat, 10 Apr 1999 00:00:23 +0900
From: Masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 12579] [HA06][EP] 「明けない夜、まとめ2&続き」
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 ども、D16です。
 明けない夜の続きのまとめと、進展部分流します。


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○侵食(3/28)
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 よく晴れた日曜日の朝、グリーングラス。

 直紀		:「ユーラさーん、おーはーよー」

 涼しいドア・ベルの音と一緒に、いつもなら飛び込んでくるはずの人物が少
し疲れた笑みを浮かべて手を振る。

 ユラ 	:「おはようござ…あれ?直紀さん?」
 直紀 	:「うん、最近なんかもうー。うー、だるぅー」

 ぽてぽてと入ってきて、ことん、とカウンターに突っ伏す。

 ユラ 	:「春先だから…体調おかしいのかな?」

 レジ脇のポットに手をのばしかけ、カウンターにちょこんと顎を乗せてこち
らを見る顔の表情に目を留め、手を止めた。

 ユラ 	:「よっぽど…疲れてる?特製のお茶煎れた方がいいのかし
		:ら」
 直紀 	:「うーん、それより…なんかいい化粧水とかないかなぁ?
		:ぱっつんぱっつんのお肌がー、あ”う”−−−」

 ふにゃあああ、と機嫌の悪い猫よろしく顔をしかめる。

 ユラ 	:「この季節だもんねぇ、花粉も飛ぶし乾燥もする…って」

 つぶやきながら、背後にずらりと並んだ瓶の中身をガラスポットに次々と放
り込み、お湯を注ぐ。

 ユラ 	:「はいどうぞ、春先用のお茶。あと化粧水なんだけど…」

そこまで言って、ユラは急に口をつぐんだ。

 直紀 	:「ふにゃ?ユラさん、どうかした?」
 ユラ 	:「…変よ」
 直紀 	:「変、って?」
 ユラ 	:「直紀さん、体質的にも、…あと能力的にも、乾燥肌にな
		:んかなるわけ…」
 直紀 	:「うーん、そうなんだよねー。だからもう、極端に体力も
		:気力も駄目になってるのかなぁって…」
 ユラ 	:「…いや、そこまで駄目になるって、それ実はすごくまず
		:いかも…ほかに何か体調おかしくなったりしたことない?」
 直紀 	:「いやもう、ひたすらだるくてー。もうここ二三日、会社
		:行くのも辛いさぁ。ユラさんとこにもねー、ほんとは昨日
		:来たかったんだけど、いちんち寝ててー…あう…」

 あくび交じりに、ぽて、とカウンターに突っ伏す。
 ユラが小さく息を吐いた。

 ユラ 	:「直紀さん、病院には行ったの?…直紀さん?」
 直紀 	:「行ってなーい…これから行こうかと…あ、でも今日休み
		:ぃ…」

 カウンターの上の肩が、だるそうに揺れる。
 す、とユラは手を伸ばし、その肩に触れた。瞬間、眉が厳しい形になる。ユ
ラはカウンターを回り、直紀の脇に手を回した。

 ユラ 	:「ちょっと…直紀さん、二階に行こう。で、そこで休もう
		:。今ちょっと出歩かない方がいい体調だから、それ」

 返事もしないうちに直紀の体を抱き上げ、

 ユラ 	:「荷物、特にないね」

 すばやく周囲に視線を走らせると、内階段を上り始めた。

 直紀 	:「あの、ユラさん、あたし別に病人じゃ…」
 ユラ 	:「立派な病人」

 そのときにはもう二階のドアを開けている。

 ユラ 	:「あとで和室にお布団敷くけど、その間とりあえず私の部
		:屋に寝てて。今日は特に用事とか抱えてないよね。一とデ
		:ートの約束とかしてても、だめだよ。しばらくはここか

		:ら出さないからね」
 直紀 	:「ユラさん、なんかむちゃくちゃ言ってるー」
 ユラ		:「たぶん、ね。でも、ここだったら倒れてもすぐ対応でき
		:るけど、店先で直紀さんが倒れたら、と思うと…」
 直紀 	:「そこまで悪く…あれ?」

 くしゃ、と体の力が一瞬抜けるような感覚に襲われ、直紀は思わず体を震わ
せた。

 ユラ 	:「今はそこまで悪くなくても。…あ、これ飲んで暫く横に
なっててね、とりあえずだるいのは少しましになるはずだから」

 棚の瓶からシロップ状の液体をグラスに注いで渡すと、自室のドアを開ける。

 ユラ 	:「なんかごたついた部屋でごめんなさいね。私ちょっとこ
		:っちの仕事片づけちゃうから…」

 言い置いて今度は電話に手を伸ばす。

 ユラ 	:「あ、朴庵先生?小滝です。店長いらっしゃいます?……
		:あ、いえ、ちょっと急病人で、私が店の方空けることにな
		:りそうなんで…ええ、あ、そうですか、来ていただける、
		:と。はい、わかりました。それじゃお願いします…」
 直紀 	:「ユラさん、なんか大ごとに…」
 ユラ 	:「いいから休んでて…だって、かなり辛いでしょ、今。こ
		:のまま帰れる?」
 直紀 	:「…うーん…確かに無理かも…」
 ユラ 	:「ん、だから。暫くここで休んでそれでよくなるんだった
		:らそれはそれでいいから。
		:で、私、代わりのバイトの子が来てくれるまで店番してる。
		:何かあったら呼んでね。
		:…それじゃ」

 階段を足音が下りて行き、直紀はユラのベッドに残された。
 いいようのない倦怠感が襲ってきた。ユラに渡された薬を飲み下すと、それ
はやがて圧倒的な眠気に変わった。
 いつのまにか直紀は眠り込んでいた。

 一方、店に下りたユラは、再び受話器を手にしていた。

 ユラ 	:「あの、柳さんのお宅でしょうか?あの、私、小滝…ええ、
		:グリーングラスの小滝ユラです。
		:紘一郎さんでいらっしゃいますよね。実は…」


〇見鬼(3/27)
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 某日、氷雨。
 春がたたらを踏んで、止まってしまったような、そんな気候。
 受け取った本を抱えて赤信号で止まっていた花澄は、ふと首を傾げた。

 花澄    :「……?」

 それ相応の人ごみの中で目に付いたのは、多分その身長にもよるのだろうが。

 花澄    :「……一、さん?」

 学生に見えない、というのが第一印象。
 スーツにロングコート。
 似合っていない、とは言わない。
 いや、むしろ堂に入っている。
 故に……ひどい違和感。

 花澄    :(別人?)

 もう一度首を傾げた途端、ぴしん、と、春の大気が凝った。
 
 花澄    :「……何?」

 凝った大気の中で、視線を上げる。そして気がつく。
 相手がこちらを見ている。その視線は何一つ引っかかるものが無かったかの
ようにすう、と一面をなぎ払い、そのまま向こうに抜けた。

 花澄    :「…………!」

 息を呑んだ刹那。

 どん、と背中にぶつかられる。
 あ、すみません、と口走って、花澄は慌てて歩き始める。
 何時の間にか目の前の信号は青に変わっていた。

 ○紘一郎動く(3/28)
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 二、三言話して電話を切る。

 すー		:「こうちゃん、電話誰だった?」
 
 言葉には応えず手早く身支度を済ませ玄関口に向かう。

 紘一郎	:「はーーーーーーぶショップ。そこで倒れたらしい」
 すー    	:「もおおお、なおちゃん休日は出かけるなって言ったのに
		:ー。
		:ユラさんトコだね」

 ばたばたとジャケットをひっ掴むと、玄関を飛び出しアパートの下まで降り
ていった。

 すー    	:「こうちゃん!行くよー、なにしてんのさー」
 紘一郎   	:「…はいはい」

 机の上にあったファイルを手に取り、簡単に戸締まりをしドアを閉めた。

 住宅街。

 いつものぽてぽてとした調子より幾分速度が早い
 電話があってから何かが気になっていた。

 紘一郎   	:「………」
 すー    	:「なおちゃん、大丈夫かなぁ」

 沈黙に耐えられず、すーが一言二言話しかけてくる。

 紘一郎   	:(しかし、倒れたって過労か? 一昨日見たときには倒れ
		:るほど非道くはなかったはずだが。過労以外で原因になり
		:そうなことと言えば…)
 すー    	:「むーーーーー」

 眉を八の字にし、こっちを睨む。
 不安ともとれる表情

 紘一郎   	:「まぁ、大丈夫だろう」
 すー    	:「そーだよねっ、大丈夫だよねっ」

 大通り前。
 
 紘一郎   	:(過労以外で原因になりそうなこと。噂、ビデオ、姉の会
		:社、ビデオ会社、噂、呪いのビデオ、呪い……)
 すー    	:「こうちゃん!早く行こうよーーー。置いてっちゃうよー」

 考えに没頭して足が止まる。
 前を見ると、すーが腕をぶんぶん振ってこっちを見ている

 紘一郎   	:「ああ、すぐ行く」

 マンション前。

 直紀のマンションを通り過ぎる。

 すー    	:「ねえ、こうちゃん。直ちゃんが倒れたのって何が原因な
		:のかな?」
 紘一郎   	:「原因ねえ…」
       	:(呪い……ありうるんだが、今のところ確信はないな。も
		:う少し情報が揃わないと)

 ぱら…と手に持ったファイルに目を通す。
 この間から状況は変わってない。

 紘一郎   	:(噂はあくまでも『噂』でしかない。やはり足…だろうな)

 考えているうちに、見慣れた通りが目に入る。
 通りに入った途端、待ちきれないと言った感じで、すーが駆け出した。
 ベーカリーの前を素通りしグリーングラスの細い階段をのぼる。
 呼び鈴を1・2度鳴らすとしばらくして、ぱたぱたと玄関に人の気配がした。

 紘一郎   	:「小滝さん、柳です」
 ユラ		:「ああ、紘一郎さん。来てくれたんですね。ありがとう。
		:まず、あがってって直紀さんところへ。あと、ご両親には?」
 紘一郎	:「まだ、連絡してはありません。東京ですからね。それと
		:も、大きな病院の方に入院する必要でも?」
 
 ユラは紘一郎を二階の和室に通す。

 ユラ		:「寝てると思います。起こさないほうが良いかな」

 障子から覗きこむ。

 すー		:「なおちゃん、なんか変だよう」
 ユラ		:「体のバランスがかなり狂っちゃってる。過労かと思った
		:けど。ひとまず今は薬効いたのか落ち着いてるけど。ここ
		:最近、何かあった?」
 
 紘一郎は部屋にそっと足を踏み入れる。
 そっと目を閉じて、自分の身体をモニタリングする。

 最初は、深い淀みに思えた。
 体の奥に、何か粘液質の重量感のあるものが沈積して居る感覚。
 息をする。

 と、うねりが起きた。

 紘一郎	:「(くっ)」
 
 ゆっくりと、しかし確実に胸を締め上げる感覚。畳に手をつく。
 遠くですーが驚いている。
 だが、苦痛の奥で紘一郎は別のことを考えた。
 
 紘一郎	:「この場から、離れなければ!」

 肩にユラの腕がかかる。
 触れた手が一瞬驚いたように引っ込められる。
 熱い。

 揺らぐ視界から障子の向うへ這い出す。

 紘一郎	:「……ユラさん、姉の…方を。様態が……急変……してる
		:はず……」
 ユラ		:「直紀さん、どうしたの?苦しいの?」
 すー		:「なおちゃん、どうしたの。やだ、やだよぅ!」

 紘一郎	:「(俺の中の呪詛に共鳴した?じゃあ、霊的な原因か?)」

 慌ただしさを増した、和室の中。むさぼるように空気を吸いこみつつ、紘一
郎は自分が得た推測に戦慄した。

 ○松蔭堂の蔵(3/28夕方)
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 キノエ	:「そういうことです、済みません尊さん。明日は午前から
		:抜けさせていただきます」
 尊		:「そっか、仕事じゃ仕方ないよね。どんな感じなの?」
 キノエ	:「(えーと)」
 十		:「(口にチャックのジェスチャー)」
 キノエ	:「ちょっと、まだ詳しいことは」
 尊		:「ふぅん、……判ったわ、こっちのことは心配しないでい
		:いから、気をつけてね。キノト君と一さんにもよろしく」
 ちん。と音を立てて黒電話の受話器を置く。

 キノエ	:「尊さんにどうして言わないの?」
 十		:「なるべく穏便に済ませたい。なるべくなら俺達だけで」
 からりと戸が開く。

 キノト	:「ただいま。ミツル、仕事?」
 十		:「ああ、直紀さんが倒れた」
 キノエ&キノト:「!?」
 十		:「蔵に戻るぞ」

 十が大学から戻った時、蔵の前には紘一郎が居た。
 少し、顔に疲労の色が見えたが、いつも通りのマイペースな口調で彼は自分
の姉が「呪いのビデオ」の影響にあること。そしてそれは明確な形で霊的なも
のであることを述べた。

 紘一郎	:「今のところ、出まわってる情報はこの黒ファイルにまと
		:めてあります。物縛霊、都市伝説それ自体での妖怪化あと
		:は明確な悪意を持った者の仕業……」
 十		:「……直紀さんは?」
 紘一郎	:「今は、ユラさんのところへ」
 十		:「わかりました」
 紘一郎	:「じゃあ、頼みます」

 よっと声を出して紘一郎は立ちあがる。
 
 十		:「えっ?」
 紘一郎	:「だから、頼みます」
 
 紘一郎はあくまで冷静だった。
 
 紘一郎	:「僕もできるだけの事はします。だけどこれ以上のことは
		:一さんのような専門の人でないと」
 十		:「……」
 紘一郎	:「一応、怖いと思ってるんです。多分。
		:なんか、本当に」
 十		:「すまない……」
 紘一郎	:「なぜ、謝るんです?
		:まだ、謝られる理由がありません。なるべくなら、謝られ
		:るような状況にはなりたくない」
 十		:「……」
 紘一郎	:「それじゃ、何か新たなことがわかり次第、連絡します」 
 そう言うと紘一郎は垣根の戸を空けて松蔭堂を後にした。
 
 十		:「って、わけだ」

 語り終えると、十はキノエとキノトを見据える。
 キノエは髪の毛をもてあそび、キノトは湯のみを両手で包み、押し黙ってい
る。

 キノエ	:「憑依の傾向は?」
 十		:「無しだ。憑依なら紘一郎君もわかるし、ある程度対処の
		:仕方もわかっている」
 キノト	:「じゃあ、呪詛?」
 十		:「ビデオテープの事がわかり次第、前野君がビデオを持っ
		:てきてくれる。テープが帰ってきたら、『式神返し』を試
		:みるつもりだったが、直紀さんの様態が心配だ、不十分な
		:状況だが、今ここで『返す』」
 キノエ	:「時間が限られてるんだったよね」
 
 十は無言で頷いた。

 キノト	:「あと何日?」
 十		:「九日、後遺症も考えられる、早めにけりをつける」
 キノエ	:「わかったよ、ミツル」
 
 ○前野自室(3/28夜)
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 前野		:「なんてこった‥‥(驚愕)」

 一から借りて来たビデオの解析を終えた前野が、驚愕の呟きを漏らす。

 前野		:「なんで、こんなもんを‥‥」

 ビデオに写っていた人影‥‥それは‥‥

 前野		:「それに、こいつだ‥」

 明滅する光‥‥
 その中に浮かぶ映像‥‥
 画像の中にはめ込まれた1コマ‥‥
 葉擦れに混じって微かに響く音楽‥‥

 前野		:「確かに立派なサブリミナルだ‥‥が‥」

 それらは、一見なんの共通性も無い様に思えた。

 前野		:「‥‥‥呪詛‥‥」

 サブリミナルの影に散りばめられた、呪。
 それも、個々では意味を成さない。
 バラバラの呪が重なり合い、お互いに補完し合いながら、一つの呪詛となる。

 前野		:「‥‥なんてこった‥」

 そう呟くと、あらためて画面に眼を移す。

 前野		:「‥‥‥本人に聞くしかなさそうだな‥」

 プリントアウトした資料を引っつかむと、コートを羽織る。
 そして、立て掛けた刀を握ると、足早に部屋を出る‥
 その人物に逢うために‥‥

 ○五行(3/28深夜)
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 前野		:「失礼しますよ」

 ここは、松蔭堂の土蔵‥‥一十の住居である。

 十		:「おや、前野君じゃないか‥こんな時間になんの用かな?」
 前野		:「少々聞きたい事がありましてね……」
 十		:「聞きたい事?」

 いつに無く冷めた様子に、少し身を正す。

 前野		:「まずは、これらを見て下さい…(バサッ)」
 十		:「こいつは…」
 前野		:「例のビデオの解析結果です。」
 十		:「ああ、あれか」
 前野		:「専門的なところは、十さんのほうが詳しいでしょう。こ
		:っちで抽出した『素材』とそこからの推論です」
 
 無言のまま渡された資料に目を通す十。
 読み進むうちに、足を崩しあぐらになる。そしてそのまま読みふける。
 やがて、
 読み終えた資料をばさりと畳の上に置いた。

 十		:「茶も出さずに失礼したな。待っててくれ茶をいれる。な
		:んなら酒の方が良いか」
 前野		:「酔うわけにはいきません。そういう状況であることは判
		:ってる筈です」
 十		:「確かに、な。
		:一体誰がこんなことを……」
 
 前野は答えない。
 
 十		:「呪詛の形式は気学に基づいてるな」
 前野		:「水気を弱め、土気を高める。水気の抑制を受けなくなっ
		:た火気は昂進し、土生金の流れに沿って生じる金の気も昂
		:進した火の気に克されて水の気の供給が絶たれる」
 十		:「バランスを崩して死に至る。体力の低下が先に立ってる
		:から、直接の死因がこれとは判らないだろうな。無差別霊
		:的テロとは……。物縛霊程度と思ってたが」

 前野		:「いや、そうとは思えないんです」
 十		:「そうかい、だからか」
 前野		:「そうです」

 向かい合ったまま、二人の男の注意が傍らの包みに向かう。
 僅かに反った棒状の包み。

 十		:「やれるのかい?」
 前野		:「したくはない。けれど、必要となれば」
 
 一瞬ガラスのごとく空気が張り詰める。
 
 母屋で時計の鐘が鳴った。

 十		:「何があったか、教えてくれ。知らずに切られるのは嫌だ」
 前野		:「この写真、見てください。明るさを調整してみてわかっ
		:たものです。あの、林の中で術式を行っていた者です」

 大きい男だ。
 手にした黒塗りの刃の日本刀が常寸ならば、男の身長は180を越すだろう。
 広い肩幅、太い首。
 黒いスーツに、ロングコート。
 そこに映っている姿は、十だった。

 前野		:「説明してください、どう言うことか」
 十		:「……馬鹿な」

 食い縛った歯の隙間から、ようやく言葉が漏れ出でた。

 十		:「十(つなし)。死んだ筈じゃ、なかったのか?」

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 ひとまず、ここで切ります。
 明日なんとか、十一(つなし・はじめ)のキャラシートを上げられるかと思います。

 不観樹さんまとめありがとうございました。
 勇魚になおなみさん、はりにゃ。話しつづけてくれたほんとに助かってます。
 物語はようやく「起」から「承」へ。
 これからもよろしく。

 口調修正などよろしくです。

 それじゃ!

柳田真坂樹(Masaki Yanagida)
東京大学農学部森林理水及び砂防研究室
研究生
e-mail:yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp
    

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