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Date: Thu, 8 Apr 1999 14:36:12 +0900
From: ソード <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12557] [HA06]:EP: 「過去無き魂」翌日朝2
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904080536.OAA20723@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12557
99年04月08日:14時36分09秒
Sub:[HA06]:EP:「過去無き魂」翌日朝2:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
とりあえずでバリバリ進めます。
「木蓮賦」を美都から見てみました。丸々カットでもつながるのですが、
入れたほうがいいのかなぁ……?
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> 英一 :「美都さん」
> 美都 :「……はい」
食卓に、緊張が走る。美都も、これからの事を考え、若干の不安を表情に出
す。
英一 :「これからのことだが……」
美都 :「あれ?ここに置いてくださるんじゃないんですか?」
英一 :「年頃の娘さんを、男の一人暮らしの家に置いとくわけに
:はいかない」
美都 :「……」
英一 :「さほど危険が無いと判断した。小滝さんのところでも、
:安全だと思う」
美都 :「あの人のところだったら、英一さんは安心ですか?」
英一 :「……まあね」
美都 :「うー……わかりました」
英一 :「納得いっていないようだね」
美都 :「だってー。せっかく一緒に暮らせると思ったのに……
:(にこっ)」
英一 :「……」
甘えるようないたずらっ子のような瞳をなげ、にこりと笑う。英一は、一瞬
言葉に詰まった。
美都 :「なーんて、ね。そうだ!お布団片づけて来ます」(立ち
:上がり、寝室へ向かう)
紫苑 :「にゃ〜(とてとて)」(後について行く)
花澄 :「かわいいこね(くすくす)」
英一 :「……頭痛が……」
花澄 :「飲みすぎよ(くすくす)」
SE :どさっ(隣の部屋より)
花澄 :「なに?」
英一 :「なんだ?」
花澄 :「……大丈夫みたい」
英一 :「そうか……」
兄は、妹の情報に信頼をおいている。彼女が大丈夫というなら、大丈夫だろう。
兄妹は、そのまま居間でお茶を飲んでいた。
寝室
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SE :どさっ
美都は、敷いてある布団にそのままうつ伏せに倒れ込む。顔はそのまま枕にうずめる。
美都 :「……っ」
声は、出さない。目からあふれる涙は、そのまま枕が吸い取り、頬をぬらすことはない。
紫苑 :「にあ……(美都……)」
美都 :「……」
今、声は出せない。出せば、涙声であろうから。口を開かず、ただ、耐える。
喉の奥が、無意味な抵抗に拒否を示し、痛みを訴える。
紫苑 :「……(ぺろぺろ)」
美都 :「(紫苑ちゃん……)」(なでなで)
頬をなめる舌が、手に触れる毛並みが。喉の痛みを和らげてくれた。最初か
ら傍らにいた。常に側にいた。素性の知れない、神秘的な猫。
紫苑 :「にあ……(美都……)」
美都 :「うん……大丈夫だよ。ありがと、紫苑ちゃん。だめだね、
:涙もろくって……(苦笑)」
紫苑 :「……(じー)」
美都 :「あの人には、涙を見せないって決めたの。もっと、強く
:ならなくちゃね」
紫苑 :「(ぺろぺろ)」
美都 :「(きゅっ)……さて、本当にお片づけしなくちゃ」
瑞鶴、玄関
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花澄 :「じゃあ、私が店番してるから、酔い覚ましに散歩がてら
:いってらっしゃい」
英一 :「ああ」
美都 :「じゃあ、花澄さん、本当にお世話になりました」
花澄 :「ええ、私、何時もここにいるから、また来てくださいね」
美都 :「はいっ」
英一 :「じゃあ、行こうか……」
美都 :「はい」
そう言って、もう一度最後に瑞鶴を見上げる。昨夜来たときはすでに闇夜だっ
たからか、のしかかるような雰囲気があったが、朝日の下でそれはない。
美都は、もう一度ぺこりとお辞儀をし、そのままくるりと背を向ける。もう、
振り返らないと、心に決めた。
グリーングラスへの道。特に会話もなく歩く。美都の行く位置は、わずかに英一の背中が見える隣。
英一 :「あ」(振り仰いで立ち止まる)
美都 :「……あの?」
英一 :「あ、悪い」
美都 :「いえ」(英一の見ているほうを仰ぐ)
見上げた先には、光を慕うように咲く、白い花。
美都 :「(知らない花だ……きれいだな)」
英一 :(見上げたままたたずんでいる)
美都 :「何の花ですか?」
英一 :「木蓮」
美都 :「お好き、なんですか?」
英一 :「うん」
美都 :「(へえ……もくれん……か)」
英一 :「隙だらけだからほっとする」
美都 :「ほっとする?」
彼は今、何を思っているのだろうか?美都には、彼の気持ちを見透かす術は
ない。もしかしたら、自分と同じように、居場所を探しているのかも……ふと、
そう思う。
英一 :「……パラソルを振れば、中原中也か」
美都 :「はい?」
英一 :「いや……」
美都 :「……(パラソル?なんだろ?)」
その知識は、記憶喪失の彼女には存在しない。存在しないものは、思い出し
もしないのだ。考えても無駄である。
英一 :「……って、悪い。小滝さんが待ってる」
美都 :「……はい」
二人は、再び歩き出した。英一は前を見て、美都は、その英一の背中を横目
でとらえながら。
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時系列的には、あとはグリーングラスに到着するだけです。
あとちょっとだ……がんばろう。
修正、加筆お願いします。
IRCや1行で指示くだされば、随時修正いたします。
では……また。