[KATARIBE 12512] 狭間より来たりし者、これまでの編集&続き(長文注意)

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Date: Tue, 06 Apr 1999 17:35:43 +0900
From: Wings <wings@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 12512] 狭間より来たりし者、これまでの編集&続き(長文注意)
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
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ども、Wingsです。
えらく遅れてしまいましたが、狭間より来たりし者最新版です。
後半に書き足しも付いてます。

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EP「狭間より来たりし者」
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◯始まり
----------

 某月某日、21:00、吹利市民公園広場。

 広場の中央に一人の男が立っている。
 フード付きの黒いマントを頭からかぶっているので顔はよく見えない。
 そして、彼の目の前には五紡星の魔法陣と、何本かのろうそく。
 ・・・・・あやしい。
 周りに人がいたら石でも投げられそうな格好だが、あいにく周りには誰
もいない。

 そして、彼はぶつぶつと呪文のような者を口ずさんでいる。

 男            :「くっくっく・・・。いよいよだ・・・。いよいよわが
                野望が現実の物となる・・・」

 そして、彼は両手を高くあげ、高らかに叫んだ。

 男            :「さあ、きたれ悪魔よ!そして我が願いを叶えるのだ!」

 ・・・もはやステロタイプ過ぎてつっこみを入れる気にもならない。
 が、それから起こったことはステロではなかった。

 男            :「はっはっは・・・ん?」

 魔法陣の中心に何かがあらわれていく。
 が、その姿はどう見ても悪魔には見えない。
 そう・・・悪魔ではなく、犬のように。

 男            :「どういうことだ・・・?文献の記述と違うぞ・・・?」

 首を傾げる男。が、考えている暇があるなら逃げるべきだっただろう。
 なぜなら・・・・・。

 男            :「え?」

 ・・・・・その犬が飛びかかってきたからである。

 男            :「う・・・うぎゃああああ!!」

 男の断末魔が公園に響いた。
 ・・・・・合掌。

○召集
------

 同日、同時刻、吹利市内某ゲームセンター。

 筐体          :「ギャーンブラーゼーット!!」
 SE          :ジャジャンジャジャンジャジャンジャジャーン、ジャンジャ

                カジャン!
 圭人          :「ふう、何とかクリアできたな。・・・あ、ランキングは無

                理か。さて次はっと・・・」

 ・・・おーい・・・。中学生は6時までだぞー・・・。

 圭人          :「えーっと・・・。あ、パワーストーンがある。やってく
か」

 ・・・聞いちゃいねえな。

 SE          :ぐおおおおおおおおおん

 圭人          :「ぬおわっ!」

 ほら、罰が当たった。
 ・・・あ、ちがうか。

 圭人          :「こ、この脳に直接響く呼び出し音は・・・。・・・時田だ

                な、いい所なのに・・・」

 そういいつつ、よろよろと物陰に歩いていく。
 そして、ゲームセンターの端まで行くと、座り込み、目をつぶった。

 圭人          :「おい、何の用だよ、こんな時間に」
 時田          :「何の用とはご挨拶だな。せっかく仕事をやろうというの
に」

 心の中に声が響く。声の主は、「十二月」第八部隊「葉月」リーダー、時田格

(ときたいたる)だ。

 圭人          :「仕事お?おい、こんな時間にどんな仕事があるってゆーん

                だよ」
 時田          :「たった今、霊力の乱れを関知した」
 圭人          :「・・・・・・・・・・」
 時田          :「場所は、吹利市民公園の中心部。詳しいことは不明だが、

                この乱れかたからして・・・・・召還だ」
 圭人          :「召還かよ・・・・・。ランクは?」
 時田          :「下級2位か1位、といったところだな。このランクならお

                まえ一人で何とかなるな?」
 圭人          :「当たり前だ・・・・・ってちょっと待て。俺一人なのか?

                :相原さんと池田はどうしたんだよ」

 相原と池田は、ともに「葉月」のメンバーである。ふつうなら彼らも来るはず

なのだが・・・。

 時田          :「相原は有給休暇を取って明日まで休みだ。池田は・・・」

 圭人          :「池田は?」
 時田          :「・・・さっき精神波を送ったが、届かなかった。結界でも

                はってるんだろう」
 圭人          :「・・・あのくそ女・・・。また『夜更かしは美容の敵よ』

                とか言いながら寝てやがるな・・・。総会であんだけ言われた

                ってゆーのに・・・」
 時田          :「・・・ともかく、今移動できるのはおまえだけだ。とっと

                と行け」
 圭人          :「はいはい・・・・・今回の分、給金に上乗せされるか?」

 時田          :「さあな」
 圭人          :「うー・・・」

 SE          :ぷちっ

 時田の声が聞こえなくなった。精神の接続を切ったらしい。

 圭人          :「やれやれ・・・。さてと、おい、クロト、聞いてたか?」

 クロト        :「はい」

 今度は女性の声が響く。彼の持つ魔道書、クロトである。

 クロト        :「吹利市民公園、でしたね。」 
 圭人          :「ああ、今からすぐに跳ぶ。あ、それから、京に連絡いれと

                いてくれ」
 クロト        :「はい」

 圭人は、ゲームセンターの外に出ると、すぐ近くの路地に入った。
 そして、誰も見ている者がいないことを確認すると

 圭人          :「古きギリシャの神々よ・・・」

 指を空中に滑らせた。そこから、光り輝く文字・・・紋章が紡ぎ出されてい
く。

 圭人          :「ゼウスとマイアの子にして十二神が一人、彼の者の力紡ぎ

                て、今、ここに示さん」

 紋章が光り輝き、圭人を包み込んでいく。

 圭人          :「我を遠き彼方へと誘え・・・ヘルメス」

 紋章が、強く光り輝く。そして、その光が消えたとき、彼はもうそこにはいな

かった。

○騒動は呼ぶ
------------

 某月某日、21:05 吹利市民公園広場近く。


 大河は帰路をいつものように歩いていた。

 大河          :「(口笛)ひぃ〜ひゃぁひゃろひゃ〜ひゃろひゃ〜ろ……」

 
 夜中に口笛を吹くなよ(^^;;
 
 男            :「う・・・うぎゃああああ!!」
 大河          :「またかよ……(嘆息)」
 
 唐突に、男の悲鳴が上がる。
 彼が事件に巻き込まれるのはいつもの事だ。
 そして、巻き込まれるとなったらどんなに逃げようと、『絶対に』逃げられな
い。
 そう決まってるのだ。
 悟りの境地といえよう(をひ)
 
 大河          :「しょうがない。いくか……」
 
 逃げようが無いのなら、立ち向かうしかない。
 となれば、先手必勝である。
 
 大河          :「え〜と、どっちだったかな……」
 
 実は……、耳があまり良くないのである、
 特に聞こえてきた方向を探るのは苦手だ。

○都会の闇に烏舞う
------------------

 某月某日21:10頃

 そのころ、その公園の入り口では、霊視を持たない人たちには一人で怒鳴って
いる
怪しい人にみえそうな一人の少年が一人いた。
 良くも悪くも周りには人がいなかった。


 健一          :「烏、なんでこんなところにいるんだよ」
 闇烏          :「ふん、俺が夜外を飛び回っているのは知っているだろう
が」
 健一          :「だからといって、何で僕の頭の上にとまりに来るんだよ」

 闇烏         :「ちょうどいいところにお前がいたからだ。…ちょっとまて
…。」
 健一          :「…どうしたんだよ、急に」
 闇烏          :「あそこになにかいるぞ」
 健一          :「…犬じゃないのか」
 闇烏          :「おい、あんなに霊力を漂わせた犬がいるか。
                :それに人も倒れているぞ。」
 
 健一          :「……そういえばそうだな」

 闇烏          :「おい、こっちにくるぞ」

 一人と一匹に緊張が走る

 健一         :「ここの中から出すとめんどうだ。結界をはってくれ」
 闇烏          :「分かった」

 その大きな犬と健一等を取り込むように結界がはられていく。

 健一          :「そのうち、どこかの退魔機関が動くだろう。
                :それまで、もちこたえるぞ」
 闇烏          :「了解」

○闇色の男
----------

 同日21:00頃

 人気の無くなった裏道を、一つの影が静かに歩いていた。
 こつりこつりという靴音が、低く響く。
 手には、細長い包み。
 包みの白さが、夜目にも目立って見える。

 …ちり〜ん……

 鈴の音に似た音が、影の手元辺りから響く。

 前野          :「ふむ……」

 足を止め、手に持ったものの囁きに耳を傾ける

 ……しゃららん……

 前野          :「公園か…」

 先ほどよりも歩調を速め、歩き出す。
 このまま歩けば、道は公園わきに繋がる。

 …ちりちり……
 ……しゃらん……

 前野          :「一つが生じ、二つに……」

 ……しゃん…

 前野          :「一つが消えたか……」

 足取りは段々早まり、小走りに駆け出す。

 走りながら、手に持っていた包みを解く。
 中身は、簡素な拵の大小二振りの刀。

 程無く視界が開け、木々に囲まれた公園わきに出る。

 前野          :「結界?」

 やや歩調を緩める。
 結界の位置は、公園の中央、やや正面入り口寄り…

 …ちりりん…

 手にした刀が鳴る

 前野          :「……二人…いや、一人と一つか……」

 …しゃら…しゃらん……

 前野          :「ま、ここまで来て帰るのもなんだしな……」

 刀を腰に差し、結界へと近づく

 其処に居るのは、一人の少年とその側に浮かぶ一匹の烏。
 魔法陣と、その傍らで血を流し倒れた男。
 そして、ゆっくりと少年の方へと進む三匹の犬……

 …ちり〜〜〜ん……

 鈴の音に、犬が歩みを止め、ふりかえる。

 前野          :「手伝おうか?」
 闇烏   :「(あの結界を抜けてきた?ならそれなりに力もあるな)
         :じゃあ、手伝ってもらおうか」
 健一   :「いいのか。」
  闇烏   :「戦えるやつが多い方がさっさと終わるだろう。」
  健一   :「まあ…、そうだが。」
  闇烏   :「あんたと健一であいつの体力を削ってくれ。
         :そしたら、俺があいつを来たところにたたき返してやる。」
  前野   :「いいだろう。」

やや腰を落とす…

…しゃん…

 獣            :「グルォッ」
 前野          :「シィッ!!」

犬のうちの一頭が、前野に飛び掛かる。
それに呼応するように抜打ちで短刀を浴びせ掛ける。
……が、間合いを間違えたのか、遥か手前で空を切る。

……ドサッ…

 前野          :「ふぅっ」

飛び掛かって来た一頭が地面に降り立つと、そのまま力無く崩れる。
残る二頭も、何かを振り払うように身を震わせる。

 前野          :「本格的に来るぞ、気ぃ入れな!」



○聞こえてくるもの
------------------

 街の隅から染み出す宵闇が吹利を黒く染めてしばらく。
 化粧の蠢く闇の時。
 
 闇の中に一人の男が立っていた。
 大きい。
 180を越す身長で相応に肉の厚みもある。
 垢じみたマウンテンパーカに、泥だらけのトレッキングシューズ。
 背には同じく泥だらけのバックパック。

 一            :「ふぅ」
 
 男は小さく嘆息した。
 このまま、背を向けて下宿に戻り、荷物を下ろして一週間ぶりの湯につ
かるのはたやすい。
 たぶん、それぐらいの事はして良いはずだ。
 けれど、今感じた何かは尋常なものではない。
 
 一            :「金にはならねぇんだよなぁ」

 も一度、嘆息。
 今に始まった話ではない。今更ためらう必要は、本当は、無い。

 一            :「キノエ、キノト。来い。ちょっと面倒ごとらしい」

○合流、序
----------

 大河          :「たぶん、音はこっちだと思うんだが」
 
 公園に入る。一瞬、髪がチリッと逆立つ。
 何らかのフィールドめいた物だと、大河は考えた。エーテル操作でペネト
レイトするまでもないフィールド。

 大河          :「結界か……」
 
 なぜ?
 一般人の保護のため。
 だれが?
 異常に気がついた、誰かが。
 いつ?
 悲鳴が起きてからここに自分がたどり着くまでのわずかな間に。
 
 一            :「あんたが悲鳴上げたってわけじゃなさそうだな」

 振り返る。大きな影。
 一歩進み出て、街灯が影の顔を照らした。

 大河          :「あ(やべっ)」
 
だが、予想したのとは違った言葉がかかる。
 
 一            :「ベーカリーで……、あったことが」
 大河          :「え〜と……そう、でしたっけ?(力無く笑う)
 一            :「一です。そちらは確か、大河さん」
 大河          :「あ、はい。そうです。
                :(良かった。ベーカリーの関係者なら大丈夫だな)」
 一  :「こんなところで何を?」
 大河          :「悲鳴らしき物が聞こえた物ですから」
 一            :「あなたもですか」

 と、そのとき。
 闇の中、地中深くから響くような唸り声が聞こえた。

◯戦い・序
------------
 前野          :「本格的に来るぞ、気ぃ入れな!」
  健一   :「それではいきますか」

  そうつぶやくと、残った二匹のうちの一匹に飛びかかる。
  ぶつかりそうになった瞬間小太刀を抜刀して打ち掛かった。
  前野の一撃で疲労していたのか
  よけることもままならずそのまま倒れた。
  まだ存在するだけの力は残っているようだったが。

  健一          :「どうした、こんなものなのかよ!」
 前野          :「莫迦が!油断するなっ!!」
 健一  :「え・・・・・!!」
 SE:ギャリィィン!

 残る一頭へと向かう健一の背後で、鋭い金属音が鳴る。
先ほど小太刀の一閃で倒れたはずの魔犬が、背後から飛び掛かろうとしたのだ。

 SE:ズダンッ

健一との間に入り、抜きざまに首を狙い太刀を振るう前野。
その太刀を歯で受け止め、そのまま地面に押し倒す。

 前野          :「くっ…擬死かよ……」

 擬死…その野生動物に備わる狡猾な本能が、この魔獣にも備わっていたのか…

 かみ砕かんばかりに刃を噛み、生臭い息を吐き掛ける。

 前野          :「さっさとそっちを片づけてくれ!こっちは何とか保たせ
                : る!」
 健一  :「は、はい!」

 SE:…ちり〜〜ん……

 前野          :「焔よ……(ひゅうぅぅ)」

 太刀で魔犬の顎を押さえながら、呼気を細くする。
 柄元に刻まれた梵字がうっすらと光り、刀身から淡い陽炎が立つ。

 前野          :「…のーまくさーまんだー…ばーさらだんせんだん……」
 魔犬          :「グルォォ!?」

 低い呟きが口から漏れ出す

……と

 前野          :「!?」
 魔犬          :「グルァ!!」

 SE:…ズドォォォオン!

 上空から降って来た光が、魔犬もろとも前野を貫く。

 魔犬          :「ギャオォン!」
 前野          :「ぐあぁぁあ……っ…!!!」

 それは、光の槍。
 もろともに、地面に縫いとめている。

 前野          :「ぎっ…暴れるな…っ…この…莫迦……ぐっ」

 魔犬は、貫かれた痛みに、血を吐き、地面を掻いてもがく。
 だが、やがてその力も弱まり、ぐったりと動かなくなる。

 前野          :「くっ…ぐが……ぬあっ!」

 肉の塊となった魔犬の体を押し上げると、繋ぎ止めている槍もろとも、逆手
に握った太刀で切り払う。
 二つになった肉塊は地面に落ちると共に、煙を上げて燃え上がる。

 前野          :「ぐぎぎぎ……」

 腹に刺さった残りの槍を、ぎりぎりと引き抜く。

 前野          :「ぐぐっ…っ!」

半ばほどで一気に引き抜くと、腹を押さえ、体を起こす。
そして、荒く息を吐きながら、太刀を支えに、立ち上がる。
炎に照らされたその姿は、魔犬と自分の血で、全身染まっている。

 前野          :「げはっ!…ハァ…ハァ……」

魔犬の吐いた血と自分の血で汚れた顔を袖口で拭う。
腹の傷は……無い…

服に大きな穴が空き、血で汚れてはいるものの、肌に傷痕は見られない。

 前野          :「無茶…しやがって……」

槍が降ってきたのであろう、空を見上げる。
案の定、そこに一つの影があった。

 前野  :「あいつか・・・」
 圭人  :「だ、大丈夫ですかあ!」

◯すべてを見守りし者
-----------------
場面は、少し前に戻る。
同日、21:12、兼澤家の住んでいるマンションの一室

 京            :(FF8をやっている)
 SE        :ぴーん、ぴーん、ぴーん・・・・・。
 京            :「ん?」
 SE        :ぴーん、ぴーん、ぴーん・・・・・。
 京            :「クロトさん?なに、こんな時間に?」
 クロト        :「ごめんなさい。でも、召集があったものだから」
 京            :「召集?あ、それで帰ってきてないの?」
 クロト        :「いえ、圭人が帰ってきてないのはそのせいじゃないわ」
 京            :「・・・ってことは・・・またゲーセン?全く・・・・・
   :これだから・・・・・」
 クロト        :「・・・・・じゃあ、状況を説明するわね」

(状況説明中)

 京            :「なるほどね。じゃあ、吹利公園の『ビジョン』を
   :出せばいいわけ?」
 クロト        :「ええ。後、そのあたりの霊体レーダーも出しておいて」
 京            :「OK。じゃ、行くよ」

京の脳裏に、地球の映像が浮かぶ。
そして、それはだんだんと下降していった。
アジア近辺・・・日本・・・近畿・・・吹利県・・・吹利市・・・そし
て・・・。

 京            :「これでよしっと。レーダーは横に出しとくよ。
   :・・・・・ところで、クロトさん」
 クロト        :「はい?」
 京            :「・・・・・何でそんなところにいるの?」
 クロト        :「え・・・・・あ、あはははは・・・・・(汗)」

ごまかし笑いをするクロト。さて、このとき、彼女と圭人がどこにいたのかと
いうと・・・。

◯天空から・・・・・
--------------

 圭人  :「なあ、クロト」
 クロト :「はい?」
 圭人  :「俺たちは、時田の馬鹿から召集くらって、吹利公園に
  :行くことになった。そこまではいいな?」
 クロト :「はい」
 圭人  :「それで、俺は紋章魔術を使って、吹利公園に
  :行こうとした。これもいいな?」
 クロト :「(汗)・・・・・はい」
 圭人  :「それでだ。何で俺たちはこんなところにいるんだ?」

彼らの目の前には、一面の霧がかかっている。
それは、すさまじいスピードで上に上がっていく。

 クロト :「それは・・・・・(大汗)」
 圭人  :「もう一度聞くぞ、クロト。何で俺たちは・・・」

突然、霧が晴れた。
彼らの眼下には、吹利市の町並み、そして、吹利公園がある。

 圭人  :「こんなところにいるんだっ!!?」
 クロト :「・・・・・た、たぶん、ヘルメスのちょっとした
  :茶目っ気かなーなんて・・・」
 圭人  :「こんな茶目っ気があるかあああああっ!!!」
 クロト :「・・・・・ご、ごめんなさーい!わたしが悪うござい
  :ましたー!!」
 圭人  :「わかればいい。さてと。とりあえず、この状況を
  :何とかしないとな」

こうしている間にも、彼らの体は自由落下を続けている。
地上まで、後500mといったところ。

 圭人  :「古きギリシャの神、天空を統べし者よ。
  :汝が力を我がもとへ」

圭人が紋章を刻む。

 圭人  :「我に翼を与えよ。ウラヌス」

突然自由落下が止まった。
そして、彼らは、ゆっくりと下に降りはじめた。

 圭人  :「京の映像の方は来てるな?」
 クロト :「(気を取り直した)はい」
 圭人  :「よし、つないでくれ」

圭人の脳裏に、京の『ビジョン』が浮かぶ。
クロトの能力で、『ビジョン』を圭人に転送しているのだ。

 圭人  :「霊体の反応は13、うち人間は5・・・・・
  :ん?これは・・・結界?」
 クロト :「かなり強力な物ですね。私たちに影響はないけど・・・
  :いったい誰が?」
 圭人  :「召還した奴がはっといたか・・・同業者だな」
 クロト :「・・・どうします?」
 圭人  :「決まってるだろ」

そういうと、圭人はにやりと笑った。

 圭人  :「まずは目標をぶっつぶす。ほかの連中はその後だ・・・」

そして、彼は紋章を刻み始めた。

 圭人  :「・・・・・ミノスの槍よ!」

その声とともに、彼の右手に、光の槍が現れる。
そして、京の『ビジョン』が、一匹の黒い犬を捕らえた。

 圭人  :「いっけえー!」

そのかけ声と同時に、光の槍が放たれた。

 SE:…ズドォォォオン!

そして、槍は犬を貫いた。
ただし、その下にいた青年も一緒に。

 圭人  :「・・・・・あ」
 クロト :「・・・・・」
 圭人  :「まずい・・・まずすぎる・・・」
 
当たり前である。
商売敵かもしれないとはいえ、人は人。
それも、ああいう位置にいるということは、少なくとも
犬をコントロールしているわけではないだろう。

と、いうことは

 圭人  :「・・・被害者に攻撃しちまったあ!!」

・・・被害者かどうかはともかく、本来攻撃するべきでない人間に
攻撃してしまったことは事実。
どう考えても始末書ではすまない。

 クロト :「どうするんです?どう考えても始末書じゃ
  :すみませんよ?(妙ににこやか)」
 圭人  :「ずいぶん落ち着いてるな、おまえ(汗)」
 クロト :「ええ、慌てられるレベルの話じゃないですから
  :(妙ににこやか)」
 圭人  :「・・・(滝汗)」
 クロト :「(にこにこ)」
 圭人  :「・・・すまん、俺が悪かった」
 クロト :「わかればいいんです。で、どうするんです?」
 圭人  :「とりあえず、まだ何とか生きてるみたいだからな。
  :早く治療しとかねえと」

そして、彼らは一気に広場に急降下した。
木の中を抜けると、広場の様子が肉眼で見える。

 圭人  :「だ、大丈夫ですかあ!
  :(!!・・・あれ食らって立ってるよ。
  :ただもんじゃねえな・・・)」
 前野  :「一応大丈夫だが・・・。乱戦の中にいきなり
  :ああいう物を打ち込むのはやめておけ。今回のようになる」
 圭人  :「は、はい・・・。(やっぱり同業者か・・・)
  :・・・怪我、治しましょうか?」
 前野  :「・・・・・おまえな。初対面で、
  :しかもいきなりあんな物を打ち込んできた奴に、
  :自分の体を任せられると思うか?」
 圭人  :「・・・・・(超滝汗)」
 前野  :「ま、話はあれを倒してからだな(顎をしゃくる)」
 圭人  :(そちらを見る)「・・・・・確かに」

そこでは、圭人と同じぐらいの年齢であろう少年が、
小太刀一本で犬と戦っていた。

◯戦い・弐
------------

 SE  :ガキイイイイイン!
 健一  :「ちいっ」

健一は、苦戦していた。
犬はかなり素早く、なかなか小太刀を当てることができない。
しかも、一瞬でも隙を見せると、その鋭い牙でかみついてくる。
どちらも直接ダメージを与えてはいないが、
疲労の度合いは明らかに健一の方が大きい。
と、突然犬が後方に飛んだ。

 健一  :「なっ?!」

そして、犬の口の中に赤い輝きが生まれる。

 闇烏  :「健一!」
 健一  :「くっ!壁よ!」
 SE  :ゴオッ・・・カキイン!

犬の口から炎の玉が放たれる。
しかし、それは健一に当たる寸前ではじけ飛んだ。
健一が作り出した光の壁に阻まれたのだ。

 健一  :「やばいな・・・。・・・!(何かひらめいたらしい)
   :おい、烏!」
 闇烏  :「何だ?」
 健一  :「ちょっと変わってくれ!体は出す!」
 闇烏  :「・・・・・わかった」
 
次の瞬間、健一の目の前に人型の物体が現れた。
彼が実体化させた闇烏の人型だ。
が、どう見てもマネキン人形にしか見えなかったりする。

 闇烏  :「・・・もうちょっと、造形には気を使え」
 健一  :「やかましいっ!」

そして、健一は精神を集中し始めた。
それを後目に、闇烏は犬に向き直った。

 闇烏  :「・・・来い」
 魔犬  :「グルオオッ!」

その声に答えるかのように、犬が飛びかかってくる。
闇烏もそれを捌こうとするが、徒手空拳では分が悪いのか、
腕にかみつかれてしまった。
が、闇烏はそれを気にした様子もない。

 闇烏  :「・・・そろそろだな(憑依を解除する)」
 魔犬  :「グオオッ!?」

空から、何かが落ちてくる。
そして、健一が叫んだ。

 健一  :「ロードローラーだっ!」

・・・ジョジョかよ、おい。
空から、その言葉通り、ロードローラーが落ちてきた。
犬は、それを交わそうとするが、牙がマネキンに食い込んでしまって
素早さが落ちている。
そして

SE  :どっごおおおおおおん!!

魔犬は、マネキン人形もろともつぶれた。

◯再結合(ルビ:リユニオン)
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その光景を、前野と圭人はあきれながら見ていた。

圭人  :「・・・・・もうちょっと他に方法が
  :あったような・・・」
前野  :「・・・・・まったくだ。倒せたから
  :いいようなものの・・・」

そして、その気持ちは闇烏も同じだった。

闇烏  :「あのな、もうちょっと穏便に済ませるということを
  :知らんのか、おまえは」
健一  :「しょうがねえだろ、他に方法思いつかなかったんだから」
闇烏  :「それならもうちょっと考えてから・・・(くどくど)」
健一  :「・・・・・(うんざり)」
圭人  :「お取り込みちゅうの所すまないけどさ」
闇烏  :「だいたいお前はいつもいつも・・・(聞いてない)」
健一  :「はいはい(聞いてない)」
圭人  :「もしもーし」
闇烏  :「この間のときだって・・・(聞いてない)」
健一  :「はいはい(聞いてない)」
圭人  :「・・・・(すううう)もしもーし!!(大声)」
健一  :「うわっ!」
圭人  :「やっと気づいたか・・・・・あれ?」
健一  :「いきなりなんなんだよ・・・・・あれ?」
闇烏  :「?」
圭人  :「み・・・御滝?」
健一  :「兼澤・・・・・?」
圭人&健一 :「何でお前がここにー!?」
前野  :「何だ、君達知り合いか?」
圭人  :「中学の同級生で・・・。しっかし、何でお前が?」
健一  :「それはこっちのせりふだ。だいたい、いつの間に来たんだ?お前」
圭人  :「ついさっきだ。だいたい、何だ?お前の頭の上にいるその変な烏は。

  :山のような霊力放ちやがって」
闇烏  :「変なとは何だ。私にはちゃんと闇烏という名前がある」
圭人  :「ふーん。あんたこいつの知り合い?」
闇烏  :「まあな・・・・・!?」
クロト  :「これは・・・!?」
圭人  :「?どうした?」
クロト  :「空間の負荷が急に高まって・・・!!、あいつら、まだ・・・」

と、その時

SE:バシュウウン!!

三筋の光が、魔法陣に向けて放たれた。

圭人  :「これは、あの犬の霊体!?くそっ、生きてやがったか!」
前野  :「しかし、なぜ魔法陣に?」
健一  :「!、ひょっとして・・・」

そして、魔法陣から、閃光が放たれた。

健一  :「これは!?」
圭人  :「くっ。京!魔法陣付近のビジョンを移せ!」
京  :「オッケー!」

圭人の脳裏に、その映像が映される。
それは・・・・・。

圭人  :「!!・・・・・なあ、御滝」
健一  :「ん?」
圭人  :「ヘルハウンドって言うのは、三身合体すると
  :ケルベロスになるんだっけか?」
健一  :「何言って・・・・・!!、まさか・・・」
圭人  :「そのまさかだ」

そして、閃光は消え・・・・・。

ケルベロス :「グオオオオオオオオオッ!!」

それが、咆吼をあげた。
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と、ここで切ります。
IRCの方で「はじめから予想できた」だの「もうちょっとひねってほしかっ
た」だの
さんざんな(でも的を得た)事を言われつつも、ケルベロスです。
ただ、オリジナルだとさすがにしゃれにならないので、
力の残滓の残滓のそのまた残滓と言うことにしました。
データは次の通り。

余力:体力12、精神力6
特徴:頭3つ:3 地獄の業火:4 牙:3 地獄の番犬:3 神話の内容に縛
られる:4
技能:かみつき:14 火炎放射:15 自律:12 すばやさ:14

えらく強力です(笑)。どうやって倒すんでしょうね、これ(おい)。

判定は、1行の方でやっておきます。
後、タイガさんと一さんはこの後合流予定。
ハリ=ハラさん、口調訂正よろしく。
それでは・・・・・。
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              「黄の八弦琴」
             伝説こそ語るべし。
               なぜなら、
          皆を導き、希望を与えるから。
                             Wings 
                   メールアドレス wings@trpg.net
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