[KATARIBE 12494] EP:「明けない、夜」続き

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Date: Fri, 2 Apr 1999 16:32:24 +0900
From: 勇魚  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12494] EP:「明けない、夜」続き 
To: kataribe-ml@trpg.net
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99年04月02日:16時32分22秒
Sub:EP:「明けない、夜」続き:
From:勇魚
ども、勇魚です。
せっかく図書館で端末ひとつ取れたので、いままでたまってた分、さくさくいきます。
はりにゃがせっかく病状解説してくださったことでもあるし。
…論文は、夜中に読めばいいや(をい!)

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さらさらと、風が入ってくる。
少し考えて、ユラは和室の窓を閉め、障子を引いた。
自分の部屋のの戸を開ける。

ユラ: 「直紀…さん?」

浅い呼吸が答え。

ユラ: 「よかった。寝てる…にしても、辛そうだし…」

き、と唇を噛んだ。小さく首を振ると、眠っている直紀をベッドから抱き上げる。

直紀: 「ふにゃ…わああ!ちょっとユラさん!?」
ユラ: 「あ、ごめん、起こしちゃったね。和室にお布団敷いたから、そっちに寝床変えようと思ったんだけど」
直紀: 「だからって…」

ずるずるとユラの腕からすべりおり、薄明るい和室の布団に潜り込む」

ユラ: 「ほんとは寝てたほうがいいと思ったんだけどね。ま、起きたんだったらちょうどいいわね、ちょっと診させてね…」

脈をとり、舌を診、いくつか質問をし…

ユラ: 「…そっか…」
直紀: 「…どうかした?」
ユラ: 「ううん、どうもしない。わかったよ、すぐよくなるから。寝てて」

言い置いて、台所に立つ。
暫くして、

直紀: 「あれ?これ、いつものハーブティーと違うね?」
ユラ: 「ん、今回のは漢方薬。いつものは私のオリジナルだけど、こっちは中国四千年の歴史ってやつ。飲んでごらん、甘いよ」
直紀: 「…なんかぴりぴりするー」
ユラ: 「…そう。…そうだね、ジンジャーとか入ってるからね。うん。飲んだら寝てて。なんかあったら、枕元にベルおいとくから、鳴らしてね。それじゃ」

外に出て引き戸を閉めた瞬間に、穏やかな笑みの仮面は剥がれ落ちた。厳しい表情。それに、不安と、焦燥。
無言で住所録を繰る。確か…確か、あったはずだ。確か…
焦って頁をなぞる手が、突然止まった。電話に手をのばし、引き戸にちらりと目をやると首をふり、携帯電話を拾い上げて窓辺に行く。

ユラ: 「…あ、こんにちは、グリーングラスの小滝ユラです。麻樹さん、今、体空いてます?…あ、非番?…よかった。いえ、今こちらにいらしていただきたいんですけど、お願いできます?…ええ。…ええ、今、直紀さん、あの、柳直紀さんね、うちの店で倒れて。…ええ、そうなんです。変なの。…ええ、説明?何て言えばいいのかな。説明がつかないんです。…そう。…説明がつかないっていうのが一番端的な説明だと思う。…具体的に?…ええ、腎経がめちゃめちゃ。水毒症状が出ていて。…それが冷えと熱の分布がぜんぜんめちゃくちゃで。…寒熱往来じゃないです。脈は微細で。…で、投薬が…反応が…そう…そう。…だって事実なんですよ!来てごらんになるといいんだわ…あ、だから…ええ、はい、すぐ来ていただけます?…よかった…ええ、それでは」

ふつ、と通話を切り、ため息。
と、足元にやわらかいものが当たった。

マヤ: 「ユラ…あんた、自分が取り乱してるって、わかってる?」

黒猫の金瞳が、静かに睨んでいた。

ユラ: 「…わかってる。どうしなきゃいけないかもね。…ありがと」
マヤ: 「今まであんたがどんな経験をしてきていようが、あんたが今目の前にしてるものだけが、今のあんたにとっての真実なんだからね。…そう、先生、おっしゃってたよね」
ユラ: 「…」
マヤ: 「それに、あんたは今、直紀さんを診断し、薬を出したよね。どういうことか、わかってるよね?」
ユラ: 「…ええ。」

深呼吸、ひとつ。
焦燥の影が、消える。冷たく厳しい無表情だけが、ユラの顔を支配した。

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というわけで、麻樹さん召喚です。
美樹さんは、麻樹さんサイドから連絡が行くか、そちらからの来店があると嬉しいんですが、
でなければこちらから召喚します。

というわけで、医療チーム結成ですね。散々悪あがきすることにしましょうか。
前野さんからの情報がくれば比較的早期に治療できそうですが、そうでなければ治療までに、
ER−緊急救命室、てな感じの大騒ぎが展開されることとなりましょう。

そんなとこで、ではまた。
口調修正など、よろしくお願いします。





    

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