[KATARIBE 12405] [HA06]:EP: 「過去無き魂」第2幕

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Date: Thu, 25 Mar 1999 14:32:14 +0900
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12405] [HA06]:EP: 「過去無き魂」第2幕 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199903250532.OAA28746@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12405

99年03月25日:14時32分08秒
Sub:[HA06]:EP:「過去無き魂」第2幕:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
「過去無き魂」の2幕目、アクションシーンをまとめました。
怒涛のように展開していたので、見直す意味も含めて……。
結構長いので、以後は読み飛ばし下さってもかまいません。

細かいところで、若干の修正を加えています。(句読点とか、スペースとか)

さて、後ろに書くと飛ばされてしまうので、前に書くことにして……(笑)

 これからの展開ですが、

 美都の介抱>警察到着>ユラさん到着>美都覚醒(目を覚ますだけです)>
身の上話……

 という展開だと思います。奥六群の下っ端は、警察の方に任せるのが無難か
と……。
 で、今日のところは瑞鶴に泊まろうと思います。

 結果的には、ユラさんのところでお世話になろうと思いますが、もう少し先
の話かも。

 EP「過去無き魂」のエンディングで、ユラさんの家に……と思っていたの
ですが、それまでに入れたい要素が

・美都夜逃げ(今夜の話ですね)
・英一さんにしかられる(自分の身を……ってやつです)
・ゆずさんの体調不良(美都が瑞鶴にいられない原因となります)

 と残っています。それぞれがエピソードにできる内容ではあると思うのですが……。

 いっそのこと、身の上話をしたくらいで完結させるのも手かな……とも考えています。

 沢山の短いEPと、長いEP1つ。どちらが望ましいのでしょうか?

 修正、加筆お願いします。

 では……また。

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再び、瑞鶴台所
==============

 SE     :とんとんとん…… 

 包丁の音。おおざっぱに、しかし大きさは均等に材料を切ってゆく。

 SE     :ぎしっぎしぎしっ 

 2方向から、足音が聞こえる。一つは店の方から歩いてくる。もう一つは風 
呂場からの小走りの音だ。 

 英一     :「花澄、それで頼んどいた奴買って来たか?」 
 美都     :「花澄さん。この服着ちゃっても良いんですね?」 

 鉢合わせ。英一の視点が美都に集中する。美都は、バスタオルで前に押さえ 
ただけの姿だ。 

 英一     :「え……?」(思考能力停止中) 
 美都     :「あ、お風呂頂いてます(ぺこり)」 

 豊かな胸の前でバスタオルを持ちながら、お辞儀をする。動くたびにタオルが翻る。 

 花澄     :「お兄ちゃん!回れ右っ!」 
 英一     :「はいっ!」(0.3秒で回れ右) 
 花澄     :「美都さん、早く服着てきて下さい……」 
 美都     :「あ、はい。ごめんなさい。こんな格好でふらついちゃっ 
        :て。服、ありがとうございます」 
 SE     :ぱたぱたぱた…… 

 英一は、後ろに足音を聞きながら、自分の頭の中の映像を消そうと必死にな 
っていた。 

 英一     :「えー、あー、花澄」 
 花澄     :「もう良いわよ。私は服着てるから」(絶対零度) 
 英一     :「…………そか」
 花澄     :「……はぁぁぁぁ(溜息)」

 男性     :「美都っ!」
 SE     :ガシャン(ガラスの割れる音)
 花澄     :「え?」
 英一     :「なんだっ?」

 澄んだ男性の声の数瞬後、窓ガラスの分ける音が響く。花澄と英一は風呂場
へ駆け出した。

瑞鶴、脱衣所
============

 時は少しだけ戻る。

 美都     :「失敗失敗、普通の女の子はあんな事しないよね」
 紫苑     :「にぁ〜(当たり前です)」
 美都     :(服を着ながら)「ん〜?紫苑ちゃん、なんか文句有るの?」
 紫苑     :「にゃぁっ(もう少しおしとやかにですねぇ……)」
 美都     :(服を着ながら)「なによ〜」(足でぐりぐり)
 紫苑     :「ごろごろごろ」

 腹を足でくすぐられ、仰向けになる紫苑。その目に、窓から覗く木から弓を
構える男の姿が見えた。矢は、明らかに美都をねらっている。

 紫苑     :「美都っ」
 SE     :ガシャンッ
 美都     :「えっ?……!」(どんっ)

 矢は、狙い誤らずに美都の背中から貫いた。

 ゆっくりと、腹部から矢をはやした美都が、崩れ落ちる……。

 花澄     :「……!」 

 脱衣場に駆け込んだ途端、飛びこんできた風景。 
 見たことの無い、青年。腕に受け止められているのは、美都。 
 腹から生えている……生えている? 

 一瞬の、混乱。 

 英一     :「花澄、情報っ」 
 花澄     :「え……はいっ」 

 何があった? 
 口を動かしただけの問いに、打ち寄せる波のように答えが返る。 

 花澄     :「男。外の通り。木から飛び降りて右に!」 
 店長     :「どこだ!」 
 花澄     :「今角を曲がるっ」 

 店の裏側の、路地。 
 毎度、ごみを出しに行く立て札の横。 
 鮮明な記憶による、位置の特定。 
 空気が、凝る。 

 どん、と、奇妙な音。 

 花澄     :「そこでいいって……反対!」 
 英一     :「分かってる」 

 飛んでいるとんぼの目の前後左右に、空気の壁を出現させる。 
 走ってゆく男の前後左右に、空気の壁を出現させる。 

 英一     :「花澄、病院」 

 それだけ言うと、走って脱衣場を出て行く。 
 裏口のノブの回る音がそれに続いた。 
 それをどこかで聞きながら、花澄は美都のほうに向き直った。 

数瞬前
======

 時は、少しだけ戻る。花澄と英一が動いていた間に、紫苑が何もしていなか
ったわけではない。

 紫苑     :「美都、しっかりしろ……」 
 美都     :「う……(どろっ)」(吐血) 

 血を吐き出す。矢は貫通し、消化器のどこかを傷つけているようだ。 

 紫苑     :「まずいな……とにかく矢を抜いて治療しなければ」 

 紫苑は美都を膝枕の状態にすると、首筋に手を置く 

 紫苑     :「(神経接続をして、一時的に痛みを私に回すか……)ぐっ」

 神経を接続したとたん、激しい痛みが紫苑を襲う。 

 紫苑     :「いきなり抜くとまずいな……私の体でコーティング……
        :して」 

 紫苑の腕が、刺さっている矢の周りを包み込むと、矢は抜け始めた。 

 紫苑     :「(自己修復用ナノマシン投与)あとは……美都の体力次
        :第か」 

 傷口がふさがり始める、が……それと同時に美都の頬が上気し始める。 
 ナノマシンを投与したため、発熱しているのだ。 

 美都を処置し終わり、正常な呼吸を確認すると、すっくと紫苑は立ち上がる。
 その目は冷たく燃えていた…… 


時は重なり、動き出す
====================

 花澄は美都のほうに向き直った。 

 と、目が大きく見開かれる。 

 花澄     :「…………どうして?」 

 抜け落ちている矢。ふさがった傷口。 
 立ちあがっている青年。 
 返事は大気から、脱衣場に漂う水気から来る。 

 花澄     :「だれ?……ああ」 

 独り言にしか聞こえぬ言葉の後に、ふいと花澄は紫苑を見据えた。 

 花澄     :「紫苑さん。外に刺客がいます。兄が捕まえてますから」 
 紫苑     :「はい」 
 花澄     :「美都さんは大丈夫?」 
 紫苑     :「後は彼女の体力次第です」 
 花澄     :「わかりました……すぐそこです」 

 破れた窓ガラスの向こうを指差す。 
 青年の姿が溶けるように変じ、一匹の猫と化す。 
 そのまま猫はまっすぐ、破れ目から外へと踊り出ていった。 


瑞鶴裏
======

 男は空気の壁に阻まれ動けないで居た。 
 男の前まで来ると、紫苑は猫から、先ほどの男性の身体に変化する。 

 紫苑     :「お疲れさまです、あとは私がやりますので」 
 英一     :「わかった、たのむ」 



 紫苑     :「さて、お仕置きの時間です」 
 SE     :「ひゅん」 

 紫苑の背中から、4本の触手が伸びる。 

 紫苑     :「人が来るかもしれないので、手早く済ませましょうか」 
 刺客     :「くっ、何者だ!」 
 紫苑     :「あなたに言われたくありません」 
 刺客     :「ちっ(しゅっ)」 

 後ろ手に隠していたナイフを、瞬時に紫苑に向けて投げつける刺客。 
 ナイフは紫苑の体に刺さるが、平気な顔で紫苑はそれを抜き取る。

 紫苑     :「無駄なことを……」 
 刺客     :「化け物がっ!」 

 素早く2本の触手が、刺客の体にからみつく。 
 触手は、刺客の腕・足・胴にからみつき、完全に刺客の動きを封じた。 

 刺客     :「ぐっ……」 
 紫苑     :「さて、美都を狙ったわけを話してもらいましょうか」 
 刺客     :「……」 

 徐々に力を増してゆく2本の触手……他の二本は、刺客の顔の付近を行ったり
来たりしている。 

 紫苑     :「ふむ、強情な人ですね、少し力を強めますか」 
 刺客     :「(ごき、ばき)ぐあぁ」 
 紫苑     :「この強さですと、通常の人間の場合は、骨の2,3本は折        :れているはずですが……どうしても、話してくれませんか?」 
 刺客     :「貴様などに……話すことは……ないっ」 
 紫苑     :「……仕方有りませんね、死んでもらいますか……」 

 顔の付近にあった触手が勢いをつける! 

 花澄     :「紫苑さん!殺しちゃだめっ」 

 駆けつけた花澄の、その声に反応して、触手は刺客の目の前でびくっと止ま
る。

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