[KATARIBE 12011] Re: [HA06L] 御剣司来店

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Date: Wed, 17 Feb 1999 15:06:42 +0900
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12011] Re: [HA06L] 御剣司来店 
To: kataribe-ml@trpg.net
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References: <36C586BC15E.9823HANZAWA@mailhost.din.or.jp>
Posted: Wed, 17 Feb 1999 15:12:14 +0900
X-Mail-Count: 12011

99年02月17日:15時12分13秒
Sub:Re:  [HA06L] 御剣司来店 :
From:ソード
こんにちは、ソードです。

今回はEPではなく小説に挑戦。御剣司来店のログの後日談的なやつです。

****************
 ベーカリー楠を訪れてから、数日間が過ぎようとしていた。
 その間、1度として足を踏み入れていない。
 「常連」と呼ばれる客たちに快く歓迎されたが、帰った後、心の中に重いも
のがのしかかっていた。

 罪悪感。

 自分の異能力の一つである電子の感知を、意志ある人間に行ってしまったの
である。
 今まで、人間の感知に能力を使った事はなかった。人間は静電気の塊である。
電子機器ではない人間に使用しても、ある程度の情報を得られる事は分かって
いた。しかも、感知している事を、相手に悟られる事はほとんど無い。自分の
人間としての最低限の礼儀だと、自らを戒めていたのだ。
 それを、初めて出会った女性に行使した。

 謝りに行かなければ……許してくれないかもしれないけれど……。

 それを決心するのに、数日かかった。自分の能力を相手に話し、信じてもら
えるかと言う不安。たとえ、信じてもらえても、許してはもらえないだろうと
いう不安。

 からんころん

 ドアベルは、最初に訪れたときと同じ音を立てる。最近付け直したのか、ド
アとは年期の入りかたが違っていた。

 常連客は、今日も数人集っている。彼女の姿は……ない。

 パンを適当に頼み、金を払ってから席についた。まだ顔を合わせた事の無い
常連客と挨拶を交わす。みな、親切で気のいい人だった。
 ここの雰囲気は気に入っていた。昔、高校時代の頃、放送室で夜遅くまで残
って雑談をしていた時の事を思い出す。あの時の空間が無ければ、今の自分が
無かったと思うくらいの大切な時間……。
 
 ふと、考えがよぎる。彼女に許されなければ、自分はこの中には戻れないだ
ろう。今、自分に必要な空間を、自分から手放さなければならない。

 恐怖感

 決心した心が鈍る。しかし、これから彼女と同じ空間をすごすには、彼女を
偽ったままの自分の良心が許さない。

 からんころん

 ドアベルの音。彼女が姿を見せる。目を合わせた瞬間、彼女は視線をそらし
つつ会釈を返した。

 再び、決心が鈍る。既に嫌われていると言う不安感が生まれる。だが、今更
止めるわけにはいかない。
 立ち上がり、彼女の元へ行く。

「少し、二人きりで話しがしたいんです。お付き合い願えませんか?」

 彼女は許してくれるのだろうか。自分の犯した人間として最低の過ちを……。

*****************
 と言うところで、終わりです。
 傍から見れば小さな悩みってやつで、異能者にしてみれば気にする事など無
い事なのかもしれません。
 ただ、こういう事を悩む異能者がいてもよいのでは?と思いまして……。

 一人称を使わずに書いてみたんですが、なにぶん、国語の成績は最悪だった
ソードです(なにせ、国語が苦手で理系に行った位です)ので、技法的な事は
分かりません。
 おかしな所があれば、指摘していただけると今後の糧に出来ると思っており
ます。

 では……また。





    

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