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Date: Fri, 12 Feb 1999 15:23:34 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 11922] HA06:EP: 「数奇」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199902120628.PAA09917@www.mahoroba.ne.jp>
Posted: Fri, 12 Feb 1999 15:28:03 +0900
X-Mail-Count: 11922
99年02月12日:15時27分59秒
Sub:HA06:EP:「数奇」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
昨日見た風景+「このくにのかたち」より。
煖ちゃんと、なああんとなくぶらっくに(笑)
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EP 「数奇」
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土手の斜面は座るのに丁度良い角度。
日の光を受けるのにも丁度良い角度。
花澄 :「昨日ね、買い物に行ってきたんです」
煖 :「あら、お酒でも?(にこにこ)」
花澄 :「はい、貴腐ワインを探しに(にこにこ)」
まだまだ鋭い筈の冬の風は、しかしこの一角ではその鋒先を和らげる。
花澄 :「そしたら……もうすぐ、バレンタインデーだったんですね。もう
:女の子がわーっと」
煖 :「あらら」
花澄 :「少し避難して見てたんですけど……ね」
ふう、と、昨日の喧騒を思い出す。
明るいようでいて……しかし。
花澄 :「好きって……数奇、からきてるんだそうですよ」
煖 :「数奇?」
花澄 :「数奇。物好き(笑)」
研ぎ澄まされた刃物の上を裸足で走るようなあやうげな、と評したのは……
あれは既にこの世にはいない作家である。
花澄 :「非常にあやうい……下手をすれば己も相手もざっくりと斬ってしまうような
:そういう感情なんだって」
煖 :「はあ」
ほんの少し、不要領な声に、花澄はくすりと笑った。
花澄 :「昨日見ながら思ったんです……こうやってチョコレート選んでる中の何人かは
:そういう『数奇』を抱えているんだろうなって」
煖 :「そうでしょうか」
花澄 :「九割そうでないとしても、後の一割を思えば、その間に手を出す、なんて
:恐いことは出来ないな、って」
煖 :「手を、出す?」
花澄 :「ほんのちょっかいの積りでも、渡り合う剣戟の間に入れば」
すい、と、指を喉のところに走らせて。
花澄 :「斬られるのが己のみならば、まだ罪はないでしょうけどね」
煖 :「……」
微かに眉をひそめて、相手を見やる。
煖 :「でもそれは、誤解するほうが悪いのではありませんの?」
花澄 :「誤解を招く要因を持つのはどちらかしら?」
ぴいん、と、張りつめるような空気。
春の色に彩られているだけに、それは奇妙な軋みを伴った。
花澄 :「管鮑の交わりとは行かなくとも、誤解される要因がこちらにあるのならば……
:いえ、無いとしても、相手が悪いでお終いでは、己が同じ間違いを繰り返すのみ」
煖 :「………」
鋭いほどの視線は、不意に和らいだ。
煖 :「それは、花澄さんの処世訓ですわね」
花澄 :「はい勿論(にこにこ)」
煖 :「私に、誤解される要因あり、と、御覧になりました?」
花澄 :「皆無、とはまさか煖ちゃんも信じてはいないでしょ?(にこにこにこ)」
はあ、と、溜息をついて煖は空を仰いだ。
煖 :「……花澄さんって」
花澄 :「はい?」
煖 :「人が悪いんですのね(苦笑)」
花澄 :「御存じありませんでした?(にこにこ)」
ふわり、と風が、花澄の背中に流れる髪をもてあそぶように流れた。
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みたいな。
このところ流れるらぶらぶものを見ていて、ふと思った感想を含みます。
ユラさん争奪戦(爆)の恐い部分って、この「数奇」にあると思う。
本当に……間に下手に入れば、切り捨てられる。のみならず手合わせしている
双方共に傷を負う。
猫娘さん’Sに関して、
煌ちゃんって、「本当に分かってないで中に入る」的なところがあるけど、
煖ちゃんって、「己と己の見かけとが引き起こす効果を十全に知ってなお中に入って
引っ掻き回す」的な悪女のイメージがあって。
……じつわとてもすきなのだ(核爆)<おまいってやつわ(滝汗)
#やっぱ悪女は確信犯でないと(滅)
故に、竜胆さんが誤解をした、という事件で、一番花澄がしょっくうけたのは、
「己に、竜胆さんに誤解させうる要因があった」
になりますね(笑)
まあ……ではでは。