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Date: Wed, 28 Oct 1998 15:07:56 +0900
From: Toshiaki Tomita <ge7m684@edu.kansai-u.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 11463] [HA06]前野君はネコミミがお好き?
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <3636B60B1CC.9522GE7M684@192.168.1.191>
Posted: Wed, 28 Oct 1998 15:13:31 +0900
X-Mail-Count: 11463
更毬@明日は学会です。
EP全部です。細かい修正も入りましたので、前の分もいっしょにアップ
しておきます。
次は、「更ちゃんは巫女さんがお好き?」でしたが、なぜか消えてしまっ
たので(T_T)、予定は未定です。
では、どうぞ
「前野君はネコミミがお好き?」
11月。今年は夏が短かったため、紅葉があまりきれいではない。おまけに、
関西を大型の台風が何個か襲ったため、散っている葉も多い。だが気候は十
分秋なだけに、秋愁にひたる奴はいるようだ。
ベーカリー店内。窓際のテーブルにて一人、前野は窓の外を見て物思いに
ふけっていた。頼んだアイスコーヒーの氷は全部溶けている。
その時カウンターに座っていた剽夜が、声をかけた。
剽夜 :「つかぬことを聞くが、前野君はロリコンかい?」
前野 :「い、いきなり何ですか。更毬さん」
剽夜 :「いや、ずっと目線が動かなかったのに、女の子と父親
:の親子連れが通ったら、目線が追っていたからな。父親
:とは考えにくいから、妥当な線で聞いてみたんだが」
前野 :「違いますよ。まったく(苦笑)」
剽夜 :「じゃあ、ネコミミが好きなのか?」
前野 :「(ぴきっ)ち、違いますよ」
剽夜 :「顔がひきつっているぞ。それに隠すことでもあるまい。
:(小声で)前野君はネコミミが好きと(かきかき)」
前野 :「メモを取らないでください」
剽夜 :「わかった結果はノートに書き留めるのが、理系の性な
:のだ。許せ」
前野 :「許せません!!」
剽夜 :「もう、すぐ本気になるんだから。もうちょっとおおら
:かに生きようではないか」
前野 :「更毬さんが、神経を逆なでする事をするからじゃない
:ですか!!」
剽夜 :「そうとも言うな」
前野 :「(はぁ〜)どっと疲れましたよ……」
しばらく、沈黙が店内を包む。しばらく、ノートに物を書いていた剽夜は、
何を思い付いたのか、鞄の中から狐のぬいぐるみ(こんこん)を取り出し、
店の角の窓際に置き、また、カウンターに座った。
店外の人達の影が長くなる頃、意地の悪い笑みを浮かべ剽夜は立ち上がっ
た。
剽夜 :「待ち人来るか……。報告ありがとう、こんこん。店長
:ちょっと出てきます」
いつもの重い鞄を下げて、剽夜は店外に出ていった。向こうから目的の人
物が歩いて来るのを発見した。
量子 :「(お腹が空いたけど、小遣いも残ってないしなぁ。ま
:た、前野っちにでもおごってもらおっと)」
剽夜 :「やぁ、量子ちゃん」
量子 :「あっ、剽夜さん」
剽夜 :「ちょっと、手伝って欲しい事があるんだが」
量子 :「なんですか?」
剽夜 :「実は、前野君がネコミミ好きという事が判明してね。
:で、実験したくてな。(ごそごそ)これをつけて、前野
:君におごってくれと頼んでくれないか?」
肩から下げた鞄から、なにごともなかったのように、ネコミミを取り出す
剽夜。
量子 :「(じとっ)どーでもいいですけど、剽夜さんはなんで
:そんなのを持ってるんです?」
剽夜 :「うむ、こんなこともあろうかとな。大丈夫だ。私が好
:きなのはネコミミではなく、袴だし」
量子 :「(なにが大丈夫なんだか)……、いいですよ」
剽夜 :「ありがとう。今度前野君がいない時にでもおごるわ」
量子 :「いえいえ(にぱっ)(待ってなさいよ、前野っち)」
演技指導も入れた後、ベーカリーの前で人込みが消えた隙をねらって、ネ
コミミを装着してもらい店内に入ってもらう。
SE :「からん、ころん」
楠 :「いらっしゃーい。あっ、量子ちゃんどうしたんだい?」
量子 :「(にぱっ)えへへ、ちょっとですねぇ(すとん)」
前野の前にすばやく座る量子。
量子 :「おはよっ、ヒ・ロ・シくんっ☆(にこっ)」
前野 :「おは……(ピキッ)」
量子 :「どしたの?(首をかしげる)」
前野 :「な、何でもないよ」
量子 :「そう……それならいいんだけど(心配そうな目つき)」
前野 :「う゛……(頼むからそんな目でみないでくれぇ)」
しかたがないんだからという表情を浮かべた後、甘えるような視線に変え
る。
量子 :「お願いがあるんだけど、いいかなぁ……」
前野 :「な……なにかな(その目つきもダメだぁ!!)」
量子 :「んとね、お腹が空いたからなにがおごって欲しいな?
:(上目づかい)」
前野 :「う……」
量子 :「……ダメ?(しゅん)」
量子の気持ちにあわせて、耳がぱたっと伏せる。
前野 :「(み、耳が動くなんて……、反則だ……)う、うん」
量子 :「やったぁ、ありがとっ☆(にぱっ)」
前野 :「(ち、ちくしょう……)」
そして、前野は自分の視界がホワイトアウトするのを感じた。
しばらくたった。
前野 :「更毬さん、何ってことを吹き込むんですか!!」
剽夜 :「いやぁ、本当にそうなのか興味があってな」
前野 :「アンタねぇ……(汗)」
剽夜 :「いいではないか、私は知的好奇心が満足したし、量子
:ちゃんはおごってもらえたし、前野君だって心のリフレッ
:シュができただろう?」
前野 :「からかわれる、己の身にもなってください」
剽夜 :「運命だと思って、あきらめな」
前野 :「いーやーだーっ!!」
前野20才。青春の叫びであった。
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関西大学大学院工学研究科化学工学専攻機能表面工学研究室
(ge7m684@edu.kansai-u.ac.jp) 富田俊明
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