[KATARIBE 11396] HA07:story: 「その翌日」

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Date: Fri, 16 Oct 1998 09:35:36 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 11396] HA07:story: 「その翌日」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <199810151001.TAA06389@smtp2.niftyserve.or.jp>
Posted: Fri, 16 Oct 1998 09:42:30 +0900
X-Mail-Count: 11396

              こんにちは、いー・あーる@こんぴた使えなひ  です。
            皆さん、こんにちは。

 ふう、と、思いついた小話。
 兪児の、「昼休み」の次の日の情景です。

くすのきさんに目を通して頂いたもの、流します。

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「その翌日」
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  昼休みのチャイムと一緒に、空気までざらざらと手触りが変わる。
  鞄の中に、本と弁当箱を入れて。

  がたがたと、机を並べ替える音。
  すり抜けて、教室を出る。

  出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない。
  もうそろそろ、出過ぎた杭に見做されている筈……なんだけど。
  それでもまだ、一人で弁当を食べていると妙な顔をされる。
  一緒に食べないか、と、声を掛けられる。

  食事中のテリトリーは強化される筈なのだが、どうも昨今の連中は
 その辺の感覚まで無くしているようで。

  用務員室には、だから助かった。
  有り難いことに、用務員さんも口数が多くない。
  これで話し掛けられたら……あとは屋上、かな。でも、あそこも天文部が
 いるようだし。

  用務員室の扉を叩く。と、扉が開く。

「……ああ、いらっしゃい」
「失礼します」

  上がって、卓袱台に弁当箱を出したところで。

「……あの水無瀬川さん」
「はい」
「今日は……」
「ああ、何かありますか」

  用事があるならば、それは仕方あるまい。

「いや、そうじゃないんだけどね……」

  仁の奴。来るとは思えんがあいつは侮れん……と、口の中でぼそぼそ呟いている。
  ……はっきりせんな。

「何か不都合なら仰言って下さって結構です。何でしょうか」
「いや、不都合ではなくって……」
「では、宜しいですか」
「いやだから」

  ………ああ全くいらいらする。

「昨日、あれから後、人が来てね」

  有り難いことに、それ以上の前置きはなかった。

「どうもね、ここで水無瀬川さんがご飯食べてるの、見ていたらしんだ」

  ……阿呆か、そいつは。

「それでね、今日も来る、って言い置いてったから……」
「人が昼食取ってるのを見て、何が面白いんでしょうね」

  まあ、人それぞれかもしれないが……とりあえず、こちらに気付かれないように
 しただけ、気を使っていたということか。

「……それで?」
「それで、って……」
「ここを使わせて頂くのは、校則に違反することですか?」
「いや、それはないけれども」
「じゃ、失礼します……これ、どうぞ」

  静かに食事が出来る。
  弁当箱一つなら、安いものだ。

  さっさと食べて図書室にでも行こうか。

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 てなもんで。

 実際、今でもこいつには参ります(苦笑)
 ご飯を一人で食べる。それがそんなに変かねえ。

 くすのきさん、有難うございましたm(_ _)m
  
 ではでは。

 

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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