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Date: Mon, 5 Oct 1998 20:21:14 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 11379] HA06:EP: 「名月を掬う」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9810051127.AA01484@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <73B77F96C572D11180B70000E20C5924842397@tonen.co.jp>
Posted: Mon, 05 Oct 1998 20:27:51 +0900
X-Mail-Count: 11379
こんにちは、いー・あーるです。
皆さん、こんにちは。
季節限定EP。
美味しいネタは、無理してでも使え(をい)
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EP 「名月を掬う」
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仲秋の名月、と言われる夜。
松蔭堂の縁側に、何故か水を満たした洗面器が一つ。
訪雪 :「で……花澄さん、これをどうするんですか(汗)」
花澄 :「名月を掬おうか、と思いまして」
凍雲 :「ほう……これなら水中に没することはない(笑)」
花澄 :「手を滑らせても大丈夫ですから(笑)」
洗面器には、満月が映っている。
こんこん:「……きゅうん(空の月を見ている)」
譲羽 :「ぢい(映った月を見ている)」
水面に、月兎がくっきりと浮かび上がっている。
闇ぬい :「ど、どやってすくうんだ?(どきどき)」
花澄 :「ちょっと、待っててね……じっとしてて(にこ)」
時折水面を揺らしていた風が、ふと、止まる。
すう、と、映り込んだ月が動かなくなる。
ふわり、と、水面に光が溜まったように見えた刹那。
ぽん、と小さく手が鳴った。
と。
SE :ぽ……ぽうむ……
こんこん:「こんっ!」
水面から光が、ぽうん、と弾き出されるように跳ね上がった。
こんこん:「こんっ!」
とんと縁側を蹴って、小さな狐のぬいぐるみが月を追って飛び上がる。
ぱくん、と開いた口が光を捉えた途端。
SE :ぷちん☆
こんこん:「きゅうっ」
SE :……ぽて
慌てて伸ばした訪雪の手の上に、こんこんは着地した。
こんこん:「……きゅうん(前足で鼻を擦っている)」
花澄 :「あらら……濡れた?(苦笑)」
こんこん:「こんっ(こっくり)……こんっ(訪雪に鼻を擦りつけている)」
訪雪 :「ああわかった、今拭いてあげるから(苦笑)」
奥から持ってきたタオルで鼻先を乾かしてやりながら。
訪雪 :「今のは……」
花澄 :「月を、掬ったんですけど(笑)」
訪雪 :「いや、それはそうでしょうが……(汗)」
花澄 :「実は、どうしてこんなことが出来るのか分からないんです(苦笑)」
訪雪 :「……成程」
花澄 :「昔叔母が教えてくれまして……」
天月を識らず、只水月を観るのみ、とは言うものの。
天月在るを最も良く識るは、水月にあらずや、と。
故に、水月は天月を追う……と。
花澄 :「何だかよく、判らなかったんですけれど……でも、
:月が掬えたのは本当でしたから」
凍雲 :「成程……」
闇ぬい :「うんときれいだったぞっ」
譲羽 :「ぢいっ(賛成)」
花澄 :「そうね(笑)……あ、大家さん、お団子持ってきたんですけど
:お皿お借りして宜しいですか?」
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何だったかな、昔、水墨画で、木に掴まった猿が、水面に映った月を
掬おうとしている場面がありまして。(多分禅画)
で、そこに「水面に映る月を掬おうとして、いつか手を滑らせて落ちる」みたいな
ことが書いてあったんです。(……あう、全然憶えてないぞ(汗))
で、冒頭の凍雲先生と花澄の掛け合いですね(笑)
凍雲先生なら、その手の絵を見たことがあっても不思議じゃないぞ、と。
てなわけで……修正宜しく〜(をいこら)
であであ(笑)
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『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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