[KATARIBE 11363] HA06:EP: 「初秋の瑞鶴」

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Date: Tue, 29 Sep 1998 17:24:42 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 11363] HA06:EP: 「初秋の瑞鶴」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <9809290358.AA01474@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Tue, 29 Sep 1998 17:31:04 +0900
X-Mail-Count: 11363

              こんにちは、いー・あーるです。
            何となく、一情景として。

みかんちゃん、お借りしました>ハリ=ハラさん

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EP 「初秋の瑞鶴」
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  長月も去るとて、流石に涼しい風の吹き始めた頃。
  瑞鶴の表で、店長が雑誌を並べている。
  並べた手元を、微かに風がかすめる。

  店長    :「……飛ぶなよ」

  すう、と雑誌の上を手で撫でる。
  薄い空気の皮膜が、雑誌を包む。

  今日は、唯一の店員が休暇を取っている。
  故に……閑古鳥がいつもより盛大に鳴いている。

  店長    :「……やれやれ」

  店内の片隅にある時計は、二時半を示している。
  学校が終わる4時頃になると、客も増えるのだが。

  どこからか一筋差し込む光の中で、埃がちらちらと舞っているのを
 店長は座り込んで眺めている。

  光の筋を辿るとも無しに辿って、硝子戸まで行き着いた時。

  店長    :「?」
  猫      :「にゃあ」

  ぶちゃんとした、白地に大きな黒の斑点の猫が、入り口のマットの上に
 座り込んでいる。
  見やった店長を堂々と見返した猫は、一つ欠伸をして、そっぽを向いた。

  店長    :(……ふむ)
  猫      :(大欠伸をもう一回)

  お客さんの邪魔だから退け、と、言うのも莫迦らしい。
  だからぼんやり眺めている。
  閑古鳥と天使が、手を組んで瑞鶴内を飛び回っている。
  視界がセピアの色に染まる。

  しいん、と…………

  時計の短針が、かちり、と歩を進める。
  その音が、やけに響く。

  しいん、と…………


  たんたんと、店に近づいてくる足音。
  他人事のように、それを耳にする……

  ふうっと、猫が息を吐いて立ち上がった。

  みかん    :「……ねこさん?」
  猫        :「にゃあ」

  お愛想のように一声鳴くと、猫はのそのそと河岸を変える。
  その声に、ゆるゆると店長は覚醒する。
  からからと、硝子戸が開いて。

  みかん    :「こんにちはっ」
  店長      :「ああ、いらっしゃい」

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せいぜい、10分かそこらの時間のEP。

いや、何となく、ぼーーっとしている猫と、その横でぼーーっとしている
店長の図、を思いついたもので。

ああ秋だなあ(って、どーも年中ぼーーっとしてそうだけど(苦笑))

ではっ 

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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