[KATARIBE 11297] HA06:EP: 「観幻楽の〜」

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Tue, 8 Sep 1998 21:42:36 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 11297] HA06:EP: 「観幻楽の〜」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9809081248.AA01457@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <9809080348.AA01456@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Tue, 08 Sep 1998 21:48:02 +0900
X-Mail-Count: 11297

           こんにちは、いー・あーる@目がいたひ です。
          皆さん、こんにちは。

#目が痛いというて、こういうもん書く……矛盾(爆)

半年ほど前に(爆)書いておりました、観幻楽しりいず(勝手にしりいずにすな)
最後の一つ、ふと見つけましたので……

凍雲先生、引きずり出してます(汗)>蘆会さん

****************************************
EP  「観幻楽の楽しみ〜海の真砂」
==================================

  某日、松蔭堂。
  秋になりかけて、まだどこか中途半端な空の色。
  昼下がり。
  松蔭堂の、店のほうから、こんにちは、と、声が聞こえる。

  凍雲      :「いらっしゃい……おや」
  花澄      :「こんにちは」
  凍雲      :「ゆずちゃんは…ああ丁度、訪雪が散歩に連れていったところで」
  花澄      :「いえ、あの」

  わたわた、と、花澄は手を振る。

  花澄      :「あの……砂時計、ありますか?」
  凍雲      :「砂時計ですかの」
  花澄      :「あの、この前ゆずから聞きまして……」
  凍雲      :「(思考中)……ああ、はいはい」

  つい先だって、木霊の少女が土蔵の中で見つけたと報告しに来たっけか。
  
  凍雲      :「ちょっと待っておってくださらんかの」
  花澄      :「すみません」

  よいしょ、と立ち上がって、奥へ入ってゆく。
  暫し。
  花澄はきょろきょろと辺りを眺める。
  蒔絵塗りの鏡、その横にあるのは……かなり古い錦の袋。
  刀かなにか、だろうか。

  花澄      :(……何度も来てるのにね)

  時代を経てきたものは、どこか皆同じような顔をしている。
  色々なものを黙って見て……黙って呑み込んできたような……

  凍雲      :「これですかの」
  花澄      :「え、あ、はい(汗)」

  握り拳よりも一回り大きい、砂時計である。
  単純な、けれども均整のとれた形をしている。
  硝子の部分が、微かにミルク色がかっている。
  それをひょいと一度ひっくり返して、凍雲が手渡す。

  花澄      :「………」

  さらさらと、砂の零れ落ちる音。
  空耳かと思うほどに、微かな音。
  ふう、と、静かに聴き惚れる音。

  ふと思い出す。
  
  この世界に途絶えること無きもの。
  浜の砂と、水の泡立つ音。

  そんな歌を……

  凍雲      :「それでいいですかな?」
  花澄      :「あ、はい(汗)……あの、これってお幾らですか?」
  
  凍雲の告げた金額は、何とか予定の範囲だったようで、花澄はほっとした顔で
 財布を引っ張り出した。

  花澄      :「ありがとうございます……あ、後程ゆずを迎えに来ますので」
  凍雲      :「はい、いつでもどうぞ(笑)」

  小さな包みを大事そうに抱えて、ぺこりと一礼して花澄が出てゆく。
  つられるように一礼して、凍雲は少し首を傾げる。
  
  微かな潮の匂いと、少しべとつく風が、松蔭堂の中に残っていた。

***************************************************
  てなもんで(苦笑)

  ここで使ったのは、「ハリハー レ ケイサリヤ」という歌です。
  ハンナ・セネッシュ(日本でもこの人の映画やったことあるんですが)
という人が作った歌です。
  カイザリヤの近くの浜辺を歩いている時に作られたそうです。

  ふう、と、その歌を思い出しまして。

  砂時計って、見ていると、引き込まれます。
  時間を計っている筈なのに、何だか時間を呑み込んでいるようで。
  ……で、ぼーーーっと見て、時間を忘れる莫迦者は私だ(をい)

  凍雲先生の口調が適当なので、手直しお願いいたしますm(_ _)m

  であっ

 
…………………………………………………………………………………………
  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
…………………………………………………………………………………………
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage