[KATARIBE 11039] [HA06]EP: 『口紅』

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Date: Fri, 7 Aug 1998 09:32:32 +0900
From: 田中 久美子<kumiko.tanaka@systemplaza.co.jp>
Subject: [KATARIBE 11039] [HA06]EP: 『口紅』
To: "'kataribe-ml@trpg.net'" <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <73B77F96C572D11180B70000E20C5924136231@tonen.co.jp>
Posted: Fri, 7 Aug 1998 09:36:17 +0900 
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  みゅ、久志です(^^)
ちととまってた『口紅』続きいきまーす。
これ終わらないと美樹さん倒れっぱなしになってしまふ(--;)

『口紅』
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  改札を抜け、出口へと足早に走り抜ける。まだ人はそれほど多くない時間帯、人
の合間をすりぬけるように歩いていく長い黒髪に青いワンピースの女。足早に後を
追いながら、改めて考えをまとめてみる。今美樹さんが倒れた、そしてその背に先
生や船越と同じく赤い口紅の跡が残されていた。そして、現れた謎の赤い口紅の女。
彼女がこの出来事の発端であるという証拠はない、だが、符号が合いすぎる。いつ
しか商店街を抜けかどを曲がり裏道に入る、狭すぎもしない広くも無い道路。
  そこに……
「!?」
  女の姿が無い。
「そんなっ!」
  このかどを曲がっていくのを間違いなく見たのだ。慌ててあたりを見回す、ひっ
そりと静まり返った裏道路、女の姿はどこにも見当たらない。人がいた気配さえな
い。見えるのは、薄汚れた電柱あちこちポスターをはがした跡のある塀、そして…
  電柱の近く、”死亡事故発生現場”と書かれた看板。
  置かれたコーラ瓶にまだ活けて間も無い花が供えられて、根元まで燃え尽きた線
香の燃えかすが落ちている。道路のアスファルトには明らかに事故の跡と思われる
タイヤのスリップ跡が刻まれ、道の隅には血の流れた跡のようなどす黒い染みがま
だ落ちずに残っている。
「これは…」
  混乱。
  あの女は、一体何者?
  口紅の跡、昏倒、女、電車、男、そして…死亡事故、つながらない点。
  ぽつりと頭に冷たい雨の滴が落ちる、滴はどす黒い空からあとからあとから降り
注ぎ、顔を体を濡らしていく。看板の前に立ち尽くしたまま、足が貼りついてしま
ったかのようにその場から動けなかった。
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みゅ、とりあえず謎が謎呼んでます(^^;)

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『罰がなければ、逃げる楽しみもない…』

  田中久志(ひさやん)  fwhs3290@mb.infoweb.or.jp
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