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Date: Tue, 21 Jul 1998 19:41:53 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10930] HA06:EP: 「みしゅみしゅ」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9807211044.AA01388@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <199807211007.TAA00441@ginga.eng.isas.ac.jp>
Posted: Tue, 21 Jul 1998 19:44:54 +0900
X-Mail-Count: 10930
こんにちは、いー・あーるです。
皆さん、こんにちは。
………みしゅみしゅみしゅみしゅ(撲)
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EP 「みしゅみしゅ」
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公園の傍らに生えている木は、葉っぱばかり大きくて、何とはなしに不格好で。
譲羽 :「……ぢい(……何か変)」
逢魔ヶ刻。薄暗くなってゆくのを幸い、一人で遊びに来た木霊の少女人形は
木の根元で首を傾げた。
譲羽 :「ぢい……(なんで、だろ?)」
それは、強いて言うならば匂いのようなもの。
強い緑の匂いに紛れて……奇妙に生臭いような………
譲羽 :「ぢ(いいや、まあ)」
余り遅くなると、花澄が心配する。だからその前に砂のお城を作りたい。
日が沈んでゆく。
まだ薄明るい空に、ゆっくりと星が浮かび上がってくる……
? :「みしゅ」
譲羽 :「?」
?? :「みしゅみしゅ」
譲羽 :「……ぢ?(一歩後退)」
?? :「みしゅみしゅみしゅみしゅみしゅ……」
それは一度聞こえ出すと、まるで枝いっぱいの鳥が囀るように幾重にも重なって
響き出した。
音の源は……公園の傍らの、木。
譲羽 :「………(そろそろと、木から遠ざかる)」
薄暗い中、何やらほとほとと、枝から落ちてくるもの。
譲羽 :(……葉っぱ?)
?? :「みしゅみしゅみしゅみしゅみしゅみしゅみしゅ……」
ほとん、と落ちた葉っぱは、柄の部分を、のこなっと持ち上げて……
……そして、前進し出す。
みしゅみしゅと、鳴き声は絶え間なく続く。
譲羽 :(な、なんだろあれ……)
みしゅみしゅと音を立てる緑色の流れは、何時の間にか根元から移動していった。
公園の前の、短い階段を降りて……
譲羽 :「ぢ……(か、かすみぃ)」
小さな呟きだった筈なのに。
最後に一枚残った葉っぱがむくり、とこちらを見る気配。
みしゅ、と、問うように……
そして、笑うように。
譲羽 :「ぢいいっ(脱兎)」
近くの電信柱によじ登り、そこから逃げ出す。
飛び上がり、飛び移り、何とか足元の葉っぱに捕まらぬよう。
花澄の部屋まで……
譲羽 :「ぢいいっ(涙目)」
花澄 :「ど、どうしたの(汗)」
ぱふ、と飛び込んで、そのまましがみつく。
すんでのところでこぼしかけたお茶のコップをテーブルに置くと、
花澄は首を傾げた。
花澄 :「何か、あったの?」
譲羽 :「ぢいぢいぢ(あのねあのねっ……)」
かくかくしかじか。
花澄 :「………」
黙ったまま、花澄は小首を傾けた。
ぱしゃん、と、コップの中のお茶が揺れた。
沈黙が、何だか重い。
譲羽 :「……ぢ?(恐る恐る)」
花澄 :「逃げてよかったわ、ゆず」
譲羽 :「ぢ?」
答えずに、花澄は窓を開く。
すぐ近くの街灯の下は、ぼんやりと明るい。
花澄 :「……食べるんですって、あの葉っぱは」
譲羽 :「ぢ?」
花澄 :「肉を……ね」
譲羽 :「…………(蒼白)」
声も無く花澄にしがみついた譲羽の頭をそっと撫でながら、花澄は目を凝らした。
街灯の下に集まる……黒っぽい何か。
何処かで、悲鳴に似た声が響いた。
みしゅみしゅと、聞こえる筈もない声が、それに混ざって響くような気がした。
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一行掲示板で、今さっき出た(というか出した)
みしゅみしゅいう木、です。
……ほーらこあいだろう(……そか?)
みしゅみしゅいう木:
葉っぱが夜になると、一斉に動き出し、進路上にある食べられるものを
食い尽くしてゆく。
肉食。
……みたいな(をひ)
ではっ
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『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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