[KATARIBE 10751] [HA06] [EP] 花影の鬼 〜第二夜〜

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Date: Sun, 12 Jul 1998 01:17:34 +0900
From: poetlabo@cap.bekkoame.or.jp (T.Nagare)
Subject: [KATARIBE 10751] [HA06] [EP] 花影の鬼 〜第二夜〜
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199807111619.BAA08659@soda1.bekkoame.or.jp>
Posted: Sun, 12 Jul 1998 01:19:34 +0900 (JST)
X-Mail-Count: 10751

流です。続きをすぐに書くつもりが、ほぼ1ヶ月ぶり。ダレとるなー。

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        鬼の風を吸い込んだ練原努は、鬼の本体に乗り移られ、倒れてしまった。相
棒の森建司はその前で手をこまねいている。

 森      :(刀を収める)ち、どうしようもない。
        :(練原を見下ろして)このまま放っといて帰るか。
 練      :(じたばたじたばた)こ、ら… 待て…
 森      :安心しろ、取り憑かれたら本体ごとばっさりやってやる。
 練      :それは…(白目を剥く)
 練      :楽しみだな。(ゆらりと立ち上がる)
 森      :!(飛びすさる)
 森      :(抜いて構える)きさま、その右目はなんだ?人間の目の
        :色ではないぞ。
 練      :ふふふ、右目がどうしたのかな?(顔の右半分だけ笑う)
 森      :どうやら右半分が鬼のようだな。きええい!(右胴狙い)
 練(鬼)   :ふん。(右手で受け止めようとして失敗)

        ☆づこっ

 練      :あだだだだ(痛)!
 森      :どうだ、目が覚めたか?
 練(鬼)   :(顔の左半分が森を睨んで)この私が、人間如きに…
 森      :ほう、こんどは左側に移ったか。きええい!(左胴狙い)
 練(鬼)   :く…(左手で受け止めようとして失敗)

        ☆づこっ

 森      :(練原を見やって)ふっ、こいつの運動神経の鈍さが幸い
        :したな。
 練      :……………(痛くて息ができない)
 森      :こんだけ撃っとけば、鬼も居られやせんだろう。本体も同
        :様の苦痛を感じることにはなるがな。
 練      :(激痛に耐えつつ)うう、てめーはあ…もっとマシなやり
        :方はなかったのか?
 森      :ない(きっぱり)
 練      :(号泣)

        二人は再び、叩き出された鬼と対峙する。

 森      :ふん、好き勝手しやがって。
        :(下段に構える)今度はてめえの番だ!
 練      :斬るのは待て。
 森      :斬らなきゃまたやられるぞ。
 練      :斬れば、奴の望みをかなえるだけだ。
 森      :何だと?
 練      :ここは一つ、謎を懸けて聞き出してやろう。
        :(鬼へ呼びかけて)花影の下にさまよふ影一つ
 鬼      :(答えて)遠く近くに消えては出づる
 練      :(付けて)夢の近さに舞ひ踊る花
 鬼      :(返して)手折りし枝を誰か尤めむ
 練      :喰はれし実の色いづくを染めむ
 鬼      :わが掌を染むる血の色
 練      :そが源は吹利にありや
 鬼      :散る華あはれ吹利に迷ふ
 練      :吹利が街に灯火とぼし
 鬼      :辻を曲がれば即ち湖
 練      :渇きを癒す水なればこそ
 鬼      :なべての関を押し流す也
 練      :汝が内に宿る水とは
 鬼      :彼の人ならで成せるものかは
 練      :白衣に隠る不思議なるかな
 鬼      :忘れ得ざりし哉、ああ!
 森      :(呆然)な…何だ?何が始まったんだ?
 練      :(苦笑)うむ。連歌俳諧を嗜むあたり、奴は中世の産物ら
        :しいな。
 森      :中世?…さっきの女は現代人だったぞ?
 練      :乗り移ったんだろうな、さっき僕がやられたみたいに。
 森      :では、これが本体なのか?
 練      :どちらを『本体』とするかによるな。お互いが相手を利用
        :している。
 森      :ならば、片方を叩き出してやる。
        :(一歩踏み出して片手打ち)
 鬼      :(かわす)汝が言の葉、これにて尽きたか?
 森      :(構え直し)なぜだ?奴の動きが変わった…
 練      :(森を引き止め)奴もおまえも変わりつつあるのだ。
        :(鬼へ)浜の真砂は尽きるとも、世に面倒の種は尽きま
        :じ。おまえはおまえが探すものを得たのか?
 鬼      :おまえと同様、ただ探し求めるばかり。
 練      :彼はもはやおまえが探している彼ではないかもしれぬ。そ
        :もそも彼を探し当てた時、おまえは何をしたいのか?
 鬼      :(夢見るように)…おお、憎くも愛しい彼の人よ、そなた
        :をこの手の内に捕えたい、 
        :(手を打って)この手でその身も魂までも引き裂きたい、
        :その皮を剥いで喰らいたい、
        :(足を踏み鳴らし)わたしがされたことを彼の身の上にも
        :してやりたい…
 練      :謡うがいい、踊るがいい。折しも桜は今が満開、黄泉から
        :の叫びさえこの世の者に届くやもしれぬ。
 鬼      :ああ、花の命の短さを、彼に教えていなければ。
        :(舞う)咲く花の、散るとはかねて知りながら…


        鬼が舞う上から、桜の花が落ちかかる。

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 こんなに長たらしいのに、まだ終わっていないではないか。「長たらしいだけの話
は嫌いだ」なんて言ってた奴は、どこの誰なんだ(自爆)


オフには、何を着て行くべきか。白のスーツならあるけど、黒服やサングラスなんて
持ってないし。ものすごく暑そうだし。
クルマで行けない距離でもないけど、列車で行った方が楽だし。しかし、クルマがあ
った方が都合いいかもしれんし…(悩)

魔術幻燈 ☆★☆ 流琢弥/萩原學/硯研一郎
http://www.bekkoame.ne.jp/%7Epoetlabo/
poetlabo@cap.bekkoame.ne.jp


    

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