[KATARIBE 10615] HA06:EP: 「松蔭堂発、和菓子」

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Date: Tue, 7 Jul 1998 12:52:43 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10615] HA06:EP: 「松蔭堂発、和菓子」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <9807061211.AA01365@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Tue, 07 Jul 1998 12:50:26 +0900
X-Mail-Count: 10615

             こんにちは、いー・あーるです。
            皆さん、こんにちは。

98/07/06:20:07:42 あたりから 98/07/06:21:08:51あたりまで
一行掲示板で走っていた話を纏めてみました。

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EP  「松蔭堂発、極甘和菓子」
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  某日、夕刻。
  松蔭堂の茶の間には、五人と木霊一人が顔を揃えている。

  訪雪    :「つまらんもんですが……食べてみてください」
  譲羽    :「ぢい……(わあ……)」

  生成り色の皿に載せられた、様々な花をかたどった和菓子。
  同色の茶碗に、濃い緑色の茶の色が映える。

  花澄    :「これ、大家さんが作られたんですか?」
  訪雪    :「はあ」
  花澄    :「……凄いですね」

  椿、薔薇、菖蒲、紫陽花、等等。
  
  譲羽    :「ぢいぢいぢい(綺麗なのっ(嬉々))」
  訪雪    :「どうぞ、召し上がって下さい」

  頂きます、と、和する声。そして…………

  凍雲    :(……甘い(汗))

  砂糖に何かを加えただけならば、砂糖を越す甘さになる筈はないのだが。
  ……が。
  …………かろく砂糖を凌駕するこの甘さ。

  花澄    :「……(この甘さ…あちらの国独特のものかと思ったけど、
          :和菓子でもこういうのあるのかぁ……)……(お茶をすする)」

  ああ、渋茶が美味しい……とも言えず。
  何となく無言になってしまった花澄の横で。

  麻樹    :「もぐもぐもぐ(ふむ。栄養にはなる)大家氏。もう一個頂こう。
          :(お茶をすする)」
  訪雪    :「ささ、もひとつ。(鳴呼、はじめておかわりしてくれる人に
          :出会った(感涙))」
  譲羽    :「ぢいぢいっ(やっぱり大家さんってすごいなあ)」

  感嘆の眼差し。
  ……沈黙は誤解の温床かもしれず。

  美樹    :「もぐ(……………)ずずずずずずずずずずずずずずず(お茶を
          :一気のみ)えと、お茶をもう一杯と……あ、お菓子ももう一つ
          :頂きましょう。(お手製ですし、残したら悪いですしね)」
  訪雪    :「はいはい、どうぞどうぞ(満面の笑み)」

  お代わり、二人目、という事実に安堵しつつ、訪雪は自分の分を口に入れる。
  
  訪雪    :「ふむ(ぱく)……(うげ甘い、儂んとこだけ砂糖が固まっとったか)」

  現実認識が多少(?)偏っているような気が……
  ってそもそも。
  ……作っている最中に、味見をしたのだろうか、大家氏は。

  花澄    :「……(お茶をゆっくり飲んで)……(本当に綺麗なんだけど…
          :ここまで甘くなかったらいいのに)……あの、大家さん、
          :お茶頂けますか?」 
  麻樹    :「もぐもぐもぐ(これだけ甘いと携行食向きかもしれん。
          :いや、水がないときは不向きか)ずずずず(茶の消費量が多くなるな)
          :あ、もう一個頂こう」

  お代わりをする狭淵兄妹をじっと見ていた譲羽が、一言。 

  譲羽    :「……ぢいぢいっ?(花澄はおかわりしないの?)」
  花澄    :「え?(汗)」

  そして追い討ちのように。

  訪雪    :「花澄さん、よかったらもうひとつ如何ですか(にこにこ)」
  花澄    :「え……(汗)……あ、はい、頂きます(にこにこ)」
  訪雪    :「ちと作りすぎましてね、まだこんなにありますからご遠慮なく
          :(重箱いっぱい)」
  花澄    :「あ、はあ……(汗)……はい、有難うございます(ぺこり)」
  譲羽    :「ぢいぢい(あのね、花澄、これ、紫陽花みたいのがいいのっ)」

  白餡に半透明の花を植え込んだ形の和菓子。
  綺麗なのだが……つやつやと光る具合が。

  花澄    :「………(甘そう(汗))」

  ぽつぽつと、花を一輪一輪ほぐすように食べはじめた向かいでは。

  美樹    :「(作りすぎたのでしたら仕方ないですねぇ)この、薔薇のかたちのを
          :頂きましょう(お茶がもう少しいりますねぇ)」
  花澄    :「………(何でお代わり出来るんだろう)」

  もしかしたら自分の食べているのが、格別甘いのだろうか、と、首をひねった
その矢先に。
  
  凍雲    :「ほ、訪雪……今日は、晩飯は要らんぞ(げふぅ)」

  御隠居、渋茶を飲みすぎたらしい。

  花澄    :(やっぱり甘いよね、これ……狭淵さんと大家さんって
          :余程の甘党なのかなあ)

  思案も、声にはならない。
  何とも……話の弾まないお茶である。
  沈黙のうちに、菓子が減り、お茶がそれに倍する勢いで減る。

  花澄    :「………(しかし、あれだけあるということは、これ食べ終わると、
          :次がくるのね……食べ終わると困るかも(汗))……(お茶をすする)」
  美樹    :「(これだけ食べれば夕食は要りませんから、助かりますなぁ)
          :ずずずず………もぐもぐ 」

  ……胃を壊すぞ。

  麻樹    :「(ふむ。まだ余っているか……)電話だ。電話だ(携帯電話)
          :はい。狭淵。……判った。今行く」
  花澄    :「……え?麻樹さん、どちらに……(蒼白)」
  麻樹    :「うむ。病院の方でまた面倒が起こったみたいでな。」

  さっと立ち上がって。
  御隠居はリタイヤ、残った面々でどうやってかたづけようか、と蒼白になった
花澄に気付いた……わけでもないのだが。

  麻樹    :「という訳で今から病院にいくが……残った分、持って行って構わないか
?」 
  花澄    :「…………(安堵)」
  訪雪    :「ええ、どーぞどーぞ(二段重ねの重箱ぎっしり)」
  麻樹    :「(ふむ、これだけあれば看護婦も含めて一晩持つな)有難く頂こう。
          :では。(重箱持って走り去る)」 
  花澄    :「………(た、助かったあ……)……(お茶を飲み干して)
          :……ご馳走様でした(ぺこり)」

 
  その日、麻樹の差し入れを食べた看護婦さん達が、どのような感想を抱いたか、とか
あまりの砂糖の量のため、その後結構長いこと和菓子が無事に残っていた、とか
麻樹が携帯食代わりに重宝していたらしい、とか、色々な風聞が残ったものだが、
……取りあえず、松蔭堂の和菓子はその後も健在(?)らしい。

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と、纏めてみた、と。

はじめと終わり、地の文に関しては、かなりいー・あーるの文になってますので、
修正、加筆、等、お願いします。

ではっ。

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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