[KATARIBE 10333] HA06:EP: 「梧桐」

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Date: Fri, 19 Jun 1998 15:12:25 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10333] HA06:EP: 「梧桐」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <3589920E148.1295SHIVA@mail.multi.gr.jp>
Posted: Fri, 19 Jun 1998 15:09:33 +0900
X-Mail-Count: 10333

              こんにちは、いー・あーるです。
            皆さん、こんにちは。

昨日、一行に書いていて、思い出したこと。

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EP  「梧桐」
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  街路樹がゆらゆらと葉を揺らす。
  ぴしんと水滴が飛んで、譲羽は思わず肩を竦める。

  花澄   :「大丈夫?」
  譲羽   :「ぢい(こっくり)」

  大きな三本指の手のひらが、頭の上に折り重なって揺れている。

  花澄   :「この木、何?」
         :”梧桐”
  花澄   :「ああ、これが?……って」

  『あおぎり、あおぎり、って連呼されると、あおのりに聞こえてくる』

  ふと、思い出して……

  花澄   :「……そんなことも、言われたっけか(苦笑)」
  譲羽   :「ぢ?」

  本当に、親しかった友人。
  一緒に話を書いて……その登場人物の名前を木の名前にしたら、
そんなことを言われた。

  連絡は、今でもたまに取ることがある。でも大概、出会うのは偶然。
  出会う機会が無いわけでもなく、出会うのを避けるのでもない。
  けれどもお互い、連絡を取ってまで会おうとはしていない。
  
  一度切れた縁を、紡ぎ直すでもなく、かといって改めて切るでもなく。
  そして確かに、切り口も風化する。
  その痛みも、風化してゆく。

  そうやって、取り戻すしかない縁もある。

  そう悟って……見送った。
  その痛みも、やはり静かに風化し、静かな鈍痛になっている。
  ほんの少し、やりきれなさも混ざって。

  譲羽   :「ぢ?(花澄?)」
  花澄   :「はい?」

  くす、と笑って、手を伸ばす。
  三本指の大きな手に、とん、と手を打ち合わす。

  街路樹は、あかるい緑。
  空を遮るようにも、緑。

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  陳腐にすぎる言葉なんですけど。
  忘れる、というのは……名医の技、だな、と。

  梧桐がゆさゆさしてるのは、うっとこの仕事場です。

  ついでに夏椿もぽたぽた落ちてます。

  でわっ。

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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