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Date: Wed, 17 Jun 1998 19:29:46 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10295] Re: HA06:EP: 「お誕生日に一升瓶」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9806171026.AA01336@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <9806161047.AA01335@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Wed, 17 Jun 1998 19:26:53 +0900
X-Mail-Count: 10295
こんにちは、いー・あーるです。
ユラさんお誕生日話の皆さん、こんにちは(をい)
お誕生日EP、花澄側、では、一挙に美樹さんのところだあっ。
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本当に色々なことを話した気がする。
本当に色々なことを約束した気がする。
ユラ :「猫……になったんですか(にじりよりっ)」
花澄 :「はあ(汗)」
ユラ :「で、どーしてうちに来てくれないんですっ!」
うんと笑って、苦労話を聞いて。
いつのまにか、譲羽は眠っている。
ユラ :「……何か……ほっとする、な」
花澄 :「そう?」
一升瓶は既に空になって転がっている。
ウイスキーの瓶から、グラスに手酌で注ぎながら。
ユラ :「うん……だって、ここって単純(笑)」
花澄 :「単純?」
ユラ :「花澄さんって、言ったことはそのままだから」
突き出されたグラスに、氷を落とし込む。
酔いのせいか、話し込んだせいか、お互いに少し伝法な口調で。
花澄 :「……だって、ややこしいこと、出来ないもの」
ユラ :「だから、いいな、って」
花澄 :「……誉め言葉に取っとくね(苦笑)」
ふと、言葉が途切れた。
先程までさあさあと降り続いていた雨は、殆どその音を鎮めている。
花澄 :「……そうだ、行かない?」
ユラ :「って、何処に?」
花澄 :「散歩」
ユラ :「散歩?この、夜中に?」
花澄 :「雨、降り止んだみたいだし……ちょっと酔狂、でしょ?」
ユラ :「……そーですね」
小首を傾げながらも、ユラが立ち上がる。
不承不承、マヤが続く。
譲羽は眠り込んでいる。
電線からほろほろと、雨粒が落ちる。
まだ渦を巻く雲に光が反射して、街は薄ぼんやりと明るい。
ユラ :「花澄さん、なんだか慣れてる(汗)」
花澄 :「よく、出歩くから……この時間なら誰も居ない分、かえって
:歩きやすくって」
大雨の後、しかも深夜とて、流石に人影が無い。
アスファルトは鈍色。
ユラ :「心象の灰色はがねから……わ」
首筋に落ちた水滴に、きゅっと肩を竦めて。
通りの真ん中を、二人で歩く。
マヤはちょんちょんと、水溜まりを避けて歩く。
酔いが足をふわふわと進める。
花澄 :(あ……でも、ユラさんだとこんな遅くに歩くの危険かな?)
ふと気が付いて宙を仰ぐ。周囲の情報を得ようと、それは他愛のない
行動だったのだが。
:”待っていた”
花澄 :「……?」
:”待ち人が、二人”
花澄 :「…………え?」
すう、と、花澄の顔から酔いの色が影を潜める。
花澄 :「どういうこと?」
:”お客人を待つ……二人……宵の口から”
:”グリーングラス”
横を歩くユラの姿を確かめる。
フクロウのぬいを抱っこしたユラは、まだ何も気が付いていないらしい。
花澄 :「誰が……」
:”狭淵美樹、小松訪雪……早く行ったが良かろうよ”
:”医学生には、医者が必要”
花澄 :「……!」
気配に、ユラがこちらを向く。反射的に笑いながら、小さく口の中で呟く。
花澄 :「ユラさんは、知らないのね?」
:”知らぬ”
花澄 :「……私は、気が付いていない方がいいのかな」
:”肯定”
小さく、溜息。
花澄 :「……ユラさん、ハーブ見たいなっ」
ユラ :「ハーブ?うちの?」
花澄 :「ユラさんのお庭の」
返事を待たずに歩き出す。
ユラがその後を追う。
ぱしゃん、と足元の水溜まりが音を立てる。
酔いの破片が、その度に崩れ落ちてゆく。
知ってしまったことの重みに、耐えかねるように。
ユラ :「にしても…やっぱり花澄さんも酔ってる?」
花澄 :「なんで?」
ユラ :「何だか唐突なんだもの」
花澄 :「そう……かも。だって二人で一升瓶一本空にして」
ユラ :「後はワインとブランデー(笑)」
笑いながら、花澄は微かに口を動かす。
花澄 :「引き際の合図、お願いね」
:”諾”
そう遠くはない、いつもの道。
いつもの角、いつもの街灯……
え、と小さく呟いて、ユラの足が止まった。
ユラ :「あれは……」
小さく息を呑む音。そして。
たん、と水を弾いて、一組の足が走り出す。
一瞬遅れて、黒い小さな影が後を追う。
:”引け”
花澄 :「諾、と」
そっと水を避けて、一組の足がもと来た道を戻る。
街灯の下の、影は二つ。
宵の口から、待っていた…………
……この、雨の中を?
ふと、足が止まる。
それが、どういうことなのか。
流石に……分かるような気が、して………
花澄 :「……!」
走り出す。
それ以上、考えたくは、ない。
それ以上……
走る。
眠り込んでいる木霊の少女のいる家へ。
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で、落とす。
こんなもんでしょうか。
少し別の展開を考えていたのですが、少々御都合主義でしたので
書き換えました。
#いや、これでもまだ御都合主義というところはあるんですが(滝汗)
一応、時間については、確としたことは書いてありません。
ただ、矛盾だの、問題だのが出てきたら、どんどん修正してやって下さい。
………で、後は、豊中さん誤解話か(爆)
でわっ
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『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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