[KATARIBE 10248] HA06:EP: 「ひなたぼっこ」

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 15 Jun 1998 18:30:20 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10248] HA06:EP: 「ひなたぼっこ」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9806150927.AA01329@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <357EF9C515E.9A0ESHIVA@mail.multi.gr.jp>
Posted: Mon, 15 Jun 1998 18:27:24 +0900
X-Mail-Count: 10248

             こんにちは、いー・あーるです。
          K’さん、皆さん、こんにちは。

この前出た、チカちゃん召喚ひなたぼっこ話(爆)

**************************************************
EP 「ひなたぼっこ」
=====================

 どうも今年の季候は妙で、はじめのうちこそ夏日が続いていたのだが
このところ、少し肌寒い。

  花澄   :「……花の季節が、少しずれているものね」

 お昼休みを多少強引にもぎ取って、近くの公園のぶらんこの上で
コンビニのサンドイッチを食べている。

 桜の葉から、光が透けて見える。
 梅雨に入ったのか、雨の日が多い。が、その合間、今日のように晴れていると、
大気が雨に洗われて、とおん、と、音が響くように澄んでいる気がする。

 虫干し。
 箪笥から着物を引っ張り出して、一日干す。
 風の匂いと、日向の匂い。
 思い出しながら、花澄は目を瞑る。

  ふと、人の気配に、花澄は目を開いた。

  花澄   :「あ、千影ちゃん(にこ)」
  千影   :「お昼寝ですか、花澄さん?(くすくす)」
  花澄   :「千影ちゃんこそ、学校は?」
  千影   :「進路指導で、残る人だけ残ってます☆」

  座っていいですか、と、視線で千影が尋ね、どうぞどうぞ、と、
花澄が手招きする。
  桜の木の下の、ぶらんこ二つ。
  銀の真っ直ぐな髪が、さわ、と一筋揺れる。

  千影   :「お昼のお休みですか?」
  花澄   :「はあ」
  千影   :「もしかして、お邪魔しちゃいました?」
  花澄   :「いえいえ(笑)」

  さらさらと、桜の葉が揺れる。
  緑の色が、視線の先で緩やかに移り変わる。
  半眼に閉じた瞼の間から、花澄はそれをしんとして見やる。
  
  いろいろなことを、見たくないと思っていた。
  いろいろなことを、見なくてもいいと思っていた。
  騙したいならば騙されよう、と。どうせ自分には、人の心の裏面までは
読み取れるものではないのだから、と。
  ……開き直った積りで、なおこの様である。

  千影   :「花澄さん、何かあったんですか?」
  花澄   :「……あったように見えます?」
  千影   :「え?」

  向き直った千影の視線の先で、花澄は少し首を傾げる。

  千影   :「……あったんですか?」
  花澄   :「……さあ?」
  千影   :「あ、ずるい」
  花澄   :「ずるい、と、言われても……」
  千影   :「じゃ、何してるんですか?ここで」

  苦笑。
  出来なかったことに対し、下手に悩むのも傲慢だ、と。
  ……誰が言ったか。

  花澄   :「はじめと終わりを、見つけに来ました」

  さわさわと。
  木漏れ日が千影の銀の髪にはじける。
  ああ、綺麗だなあ、と、ぼんやりと知覚する。
  多分、自分より遥かに女性であることに慣れた…
 ……故に混乱にも慣れているであろう少女。

  花澄   :「……いろいろなことが、ひどく混乱してしまって」
  千影   :「だから、混乱することがあったんでしょ?」
  花澄   :「混乱しているのは、私自身だから」

  少し眉をひそめた千影の顔を、小首を傾げて花澄は見やる。
  
  花澄   :「どうせ、物事にははじめと終わりしかない」

  考えにも、はじめと終わりしかない。
  どんなに縺れていても、ほどき、ある時は引っ張れば、元の一本の糸になる。

  千影   :「でも、下手に引っ張るとこぶが出来ますよ?」
  花澄   :「それは、切る」

  切って……呑み込む。
  呑み込めば、何時かは忘れる。
  単純に世の中を割り切る、それは代償。

  花澄   :「……なあんて、ね(苦笑)」

  そのままもう一度、目を閉じる。
  全ては一本の糸に戻る。

  桜の葉越しの光は、やはりゆらゆらと揺れる。
  梅雨の合間の、さらさらとした午後である。

**********************************************

  いや、時々言われるんですが。
「いー・って野郎入ってるよねえ……噂話をばらまかないもん」

  …………おおさまのみみは、ろばのみみー(をい)

  言葉に裏表があるのなんてめんどくさすぎるし。
  それにとらわれて一喜一憂しても仕方ないし。
  縺れた糸は、ぶち切って繋ぐ。
  繋げないなら放り出す。
  …………本当に、世の中単純に渡ってきているなあ(汗)>いー・

  猫化話だの、誤解話だの、美樹さん話だの、と続いているので
流石にこれくらいの処置はいるだろうな、と。


  でわっ。

 
…………………………………………………………………………………………
  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
…………………………………………………………………………………………
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage