Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Thu, 11 Jun 1998 00:42:50 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 10173] [HA06] EP: My bike is calling me...?
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9806101536.AA00074@gombe.osk3.3web.ne.jp>
Posted: Thu, 11 Jun 1998 00:36:32 +0900
X-Mail-Count: 10173
RT楠ホームページ発足記念に、書いてみました。
ベーカリーデビュー、出来るだろうか。<堀川祐司
--------------------------------------------------------------------
狭間06EP:『バイクが俺を呼んでいる……?』
============================================
きっかけは何気なく
------------------
伽耶子 :「ねぇ、兄」
祐司 :「何かね、妹」
伽耶子 :「バイク、どうするの?」
祐司 :「……んー」
居間の隅のパソコンでWWWに興じながら、ストレッチ運動をしている妹に
振り返りもせず生返事を返す祐司。それでも一応はあれこれと頭を巡らせて
みる。
6月初頭の土曜の昼下がり、珍しく兄妹がそろった堀川家の居間の風景で
ある。WWWくらいなら実際大学でも出来るのだが、趣味もあって家でもその
環境は整えている。
祐司 :「どうしようかねぇ」
伽耶子 :「あたしが乗ったげようか」
祐司 :「あかん」
にべもない。
祐司 :「普免でなければ、自動車学校の金も出さんぞ」
伽耶子 :「だぅー」
昔から、どうせ免許を取るなら危ないバイクよりも車にしなさい、と母親
がうるさいので、兄である手前妹に甘いことは言えないのである。
それでも祐司が自分のことは棚に上げて早々にバイクの免許を取ってしま
ったのは、ヤローなら多少身体のパーツを失っても(ぉぃ)いくらでも挽回
できる可能性があるが、女の子が身体を損傷したら不幸になる可能性の方が
高い、と思っているからであった。
そういう意味で、祐司は伽耶子をバイクに乗らせるつもりは毛頭ない。
かといって、足かけ5年はほったらかしてあるあのバイクに、今さら実際
のところ誰が乗るのだ?
伽耶子 :「いつまでもほっといたら、また粗大ゴミに出せって言われるん
:とちゃう?」
祐司 :「んー……」
ふと思い立った祐司は、すぐ終わるつもりだったWWWサーフィンを続ける
べく、某検索サービスにアクセスした。そして、とある文字列を打ち込む。
カタカタ…… 吹利 & バイク >検索。
祐司 :「……なんじゃこりゃ(^_^;」
大学通勤を兼ねたりして吹利近郊でのんびりバイクに乗れるよう、その動
機付けとしてバイクの同好会のようなものが吹利市内にでもあれば、と思っ
たのだが……
実際の結果としては、新聞・雑誌の特集記事や吹利県内のバイク店・オー
トディーラーなどの宣伝ページばかりが、怒濤のように表示されてしまった。
検索文字列が間違ったかな、「趣味」とか「サークル」でも入れた方が良
かったか……などと考えてさらにAND検索しようとしていた祐司は、アンカ
ーの羅列の中に紛れ込んでいる、とあるサークルらしき名前に目を止めた。
祐司 :「『RT楠』か……よし」
楠と言う字は、実は他の木よりも好きな字である。父親が河内の出身で頻
繁に口にしていたため、大楠公のことを身近に感じるからに違いない、と祐
司は思っている。
WWW :『RT楠』
どうやらまだ新しいページらしい。一見真っ白な分、あまり画像もなくて、
かえって好感の持てるページになっている。
『BBS』と言うアンカーを見つけた祐司は、早速書き込みに入った。
WWW :『6 Jun 1998 18:40:34
:お、こんなところが / 堀川祐司
:こんなところに吹利のツーリングサークルの案内が……
:そう言えばうちのバイクも実家で5年くらい動かしてない
:よう(;_;) <注※実話
:
:いずれ顔を出させて下さい(^^;/』
2・3時間後にアクセスしたとき、そこには祐司のメッセージへの返事が
書かれていた。
WWW :『6 Jun 1998 23:27:09
:Re:お、こんなところが / 京
:はじめまして堀川さん。(^^
:
:>いずれ顔を出させて下さい(^^;/
:メンバーは吹利大学通りにあるベーカリー楠にたむろしておりま
:すので一度覗いてみて下さい。何と言ってもそこの店長さんが二
:代目ですから。(^^;
:
:#もうすでにベーカリーの常連さんだったりして。(^^;』
祐司 :「ベーカリー、……?」
《大正舘書店ジーナス英和辞典より抜粋》
bakery (名 C)
1. 製パン所 ; パン屋
2. <米> パン・ケーキ販売店
パン屋が本拠のツーリングサークルなど、あるだろうか?
祐司 :「……この様子なら"走り屋"がいるような気合いの入ったサーク
:ルではなさそうやし、気楽に参加できるかも……一度見に行って
:みよっかな?」
伽耶子 :「何かあったん?」
祐司 :「内緒」
伽耶子 :「あぅー、ケチ」
祐司はまだ、そのパン屋がひときわ不思議な世界の入り口だとは知る由も
なかった。
実はさらに日常な日々
--------------------
6月上旬の某日夕刻。といっても、夏至も目前の空はまだ夕暮れの予感す
ら感じさせることなく、明るい。
研究室帰りの祐司は、WWWで見た『RT楠』の本拠地を探して大学通りを
歩いていた。
祐司 :「ベーカリー……楠、ここか」
くるりと周りを見渡してみる。特にバイクの姿はどこにも見当たらない。
祐司 :「……ほんまにここなんか?」
中からはいい匂いが漂ってくる。喫茶室もやっているらしいことを確認し
た祐司は、意を決して入ることにした。
SE :からからん
観楠 :「いらっしゃいませ」
祐司 :「あ……えー、ショコラサンドとチョコチップとチョコデニッシ
:ュを」
某ドーナツ店と見まがうこれらのラインナップが揃っていたのは、ちなみ
にこの日だけであった。(^^;
観楠 :「お持ち帰りですね?」
祐司 :「いえ、ここで食べます……あと、アメリカンも」
祐司は店内を見回した。広くはないが狭すぎることもない、適度にくつろ
げる空間である。
空いている席は……と。
--------------------------------------------------------------------
とりあえず……ここで切るといいんだろうか?(^^;
アドバイス・続き等、お願いします。m(_ _)m
========================================================
堀田 拓司 (ごんべ) gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/