[KATARIBE 10072] HA06:EP: 「お山の大将」

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Date: Fri, 5 Jun 1998 15:27:45 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10072] HA06:EP: 「お山の大将」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <9806050100.AA01313@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Fri, 05 Jun 1998 15:24:40 +0900
X-Mail-Count: 10072

             こんにちは、いー・あーる@木に登る です。
           皆さん、こんにちは。

帰り道、思いついたEP。
……察するに、車ん中で、歌いながら帰るのが悪いんだな(爆)

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EP  「お山の大将」
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  もうそろそろ、明日が今日になる時刻。
  公園の小さなジャングルジムの上に陣取って、花澄はグラスを傾ける。

  花澄  :「お山の大将俺一人……か」

  後からくるもの 突き落とせ、と、口の中で呟いて、また一口。
  冷やしておいた酒は、するりと喉を通る。

  忘れるほどに呑めばいい、と、人は言う。
  レテの河は、丸ごと酒かもしれない。

  何を忘れたいのか。
  忘れたいと思った、その感情ごとに忘れてしまいたいのに。

  花澄  :「後に残るのは……月、だっけ?」

  返事は、無い。
  ……筈、だったのだが。

        :「何が残るんですか?(くす)」
  花澄  :「……っと…あら」

  手から飛び出しかけたグラスを持ち直して。

  花澄  :「尊さん、かあ……吃驚した(笑)」
  尊    :「花澄さんこそ。そんなところで酒盛りですか?」
  花澄  :「はあ(苦笑)……登ってきません?もひとつグラスありますよ」
  尊    :「はいはい(笑)」

  ひょい、と、尊が花澄の隣までやってくる。
  背負った鞄から、グラスと一升瓶が出てくる。

  尊    :「……何か……もしかして、これ、初めてじゃないんですか?」
  花澄  :「って……ああ、はい、良くここで呑みますよ(にこにこ)」

  次の質問の前に、花澄がとくとくとグラスに酒を注ぐ。
  瓶が、汗をかいている。

  尊    :「あ、おいし」
  花澄  :「あんまり有名なお酒じゃないんですけど、冷やすと結構……
        :ごめんなさい、酒のつまみもないんですけど」
  尊    :「………(そこまであったら恐い)」

  暫し、無言でグラスを傾ける。
  お代わりを注ごうとして、尊はふと手を止めた。
  一升瓶の中身が、既に半分近くに減っている。

  尊    :「……花澄さん?」
  花澄  :「はい?」
  尊    :「これ……一人で?」
  花澄  :「はあ」

  公園の真ん中の、弱々しい街灯の光だけでは、花澄の表情は良く分らない。

  尊    :「良く、酔わないですね」
  花澄  :「………酔ってますよ(笑)」
  
  何処が、と、聞きかけた尊の機先を制するように花澄はにっこりと笑い、
持っていたグラスを空けると。

  すとん、と、飛び降りた。

  尊    :「花澄さん?!」
  花澄  :「ほら、突き落とすのって厭でしょ?だから自分が落ちるの」

  ほろほろと笑いながら、尊を見上げる。その何処にも酔いの影はない。
  歩みののろい天使が、一往復した頃。

  花澄  :「と、まあ、この程度のことをするくらいには酔ってますね」

  そう言うと、花澄はまたもとの位置に戻り、一升瓶を受け取った。
  白っぽい芳香が、瓶から漂う。
  
  尊    :「……何か、酔い潰したくなってきた」
  花澄  :「はい?」
  尊    :「花澄さん……潰したらどうなるのか、見てみたいなっ(くす)」
  花澄  :「おや……受けて立ちますよ(にこ)」

  にこにこにっこり。
  結構物騒な内容である。

  尊    :「でも、これじゃ、どちらにしても足りないかな」
  花澄  :「御心配なく。ほらこれ、このとおり」

  鞄の中から、魔法のようにもう一本。

  尊    :「………(一人でこれだけ呑むつもりだったのかしら、花澄さん(汗))」
  花澄  :「この前、美味しかったからまた買ってしまいました。
        :山崎のモルツ……だっけな?(にこにこ)」

  鞄を叩くと、お酒が一本。
  ……妙なフレーズを思い出してしまった尊である。

  尊    :「じゃ……とにかく、呑みましょうっ」
  花澄  :「はい(にっこり)」

  薄雲に包まれた月が、ゆっくりと傾いてゆく。
  酒は滑らかに喉を過ぎる。

  レテの河は、やはり丸ごと酒なのだろう。

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「おーやまーの大将、おーれひーとりー」……と。
夜の道を歌いながら走りますと。
おーや不思議、あっという間に80km(爆)
#他には「箱根の山」とか「金毘羅船々」とか……

人と呑む時って、背筋が伸びます。
潰れるって、やっぱり恥です。
故に、花澄にしたら、ジャングルジムから飛び降りるって、相当酔ってますね。

  いー・  :「尊さんが相手なんだからさ、多少酔っ払ってもいいだろうにさ」
  花澄    :「いー・は、じゃ、出来るの?」
  いー・  :「そこまで行く前に、美味しくなくなる」

山崎のモルツは、小瓶買って飲んだら、すいっと飲めて美味しかったっす(爆)
……いけねえ……ういすきーには手を出さないぞと思っているのに(をい)

でわっ。

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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