[KATARIBE 10032] HA06:EP: 「使い魔用ぬい」

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Date: Tue, 2 Jun 1998 17:53:22 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 10032] HA06:EP: 「使い魔用ぬい」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <9806020332.AA01305@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
Posted: Tue, 02 Jun 1998 17:49:16 +0900
X-Mail-Count: 10032

            こんにちは、いー・あーるです。
          更毬さん、こんにちは。

こんこん君、作成秘話であります。
……何故にあそこまで、こんこん君が「生まれたばかり」なのか。
その謎を、明かします……(大風呂敷)

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EP  「使い魔用ぬい」
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  某日、瑞鶴。
  硝子戸が開く。

  花澄    :「いらっしゃいませ」
  剽夜    :「こんにちは」
  花澄    :「あ……あ、こんにちは(にこにこ)」

  確か、ベーカリー楠で、一度会ったことのある……

  花澄    :「更毬さん、ですよね?」
  剽夜    :「はい」

  色々な本を、次々開いていった人だ。

  剽夜    :「すみません、少々不躾なお願いがあって来たんですが」
  花澄    :「はい?」
  剽夜    :「ぬいを一体、作って頂けませんか?」
  花澄    :「……はあ?」

  昨今、強引に人様に守護ぬいを押し付けている為、確かに結構出回っては
いるのだが。

  花澄    :「あの、どこでお聞きになったんですか、私がぬいを作るって」
  剽夜    :「ああ、前野君の所で……お嬢さんの持っていたオコジョのぬいを
          :見せてもらいまして」
  花澄    :「ああ、はるか……ですね?」

  ひょんな拍子で、手渡すことになった守護ぬい。

  花澄    :「でも、あれが、何か?」
  剽夜    :「なぜか、花澄さんの作ったぬいは霊的に感受性が強いんです」
  花澄    :「……はあ?(良く意味が分っていない)」
  剽夜    :「あれならば使い魔の寄代としてはかっこうなんです」
  花澄    :「……はあ(やっぱり意味が分っていない)」
  剽夜    :「それで、一つ作って頂けたら、と」

  何だか良く分らない、というのが本当なのだが。

  花澄    :「ええと……てことは、使い魔の、寄代……に使うんですね?」
  剽夜    :「はい」
  花澄    :「何の、ぬいが宜しいですか?」
  剽夜    :「出来れば狐がいいんですが」

  狐。
  手持ちのぬいの本を検索する。

  花澄    :「(型紙はあるから)……多分、出来ると思います……
          :今だったら三日、かな?」
  剽夜    :「お願いできますか」
  花澄    :「はい。面白そうですから」

  初めてのぬい、というものは、結果が分らないだけに作っていて面白い。
  失敗したらどうするんだ、という意見もあるのだろうが、作る前から
失敗した時のことを考えるほどには、花澄も悲観的ではない……というか
ただ単に考えていないというか……(汗)

  花澄    :「そしたら、作って瑞鶴に連れてきますから、そのうち
          :またこちらに寄って頂けますか?」
  剽夜    :「はい。……じゃ、宜しく」


  とは、言ったものの。

  花澄    :「……一つ、見逃してたわ」
  譲羽    :「ぢい?」
  花澄    :「守護ぬいになったら、いけないのよね」

  どうも最近、作るぬいたちが確固たる意志を持って誕生するきらいがある。
それはそれでいいのだが。

  花澄    :「今回、寄代ってことは、後から意志が入って来るってことで、
          :とすると、意志持ってたらまずいわよねえ……」

  どうやら作る際の思い入れが原因らしいのだが。

  花澄    :「でも、可愛くなってくれ……ってのも、思い入れ、だものね」

  そこまで思い入れを除去すると、作りづらい。
  さてどうしよう、と、布と型紙を前に考え込んだ花澄のスカートの裾を、
譲羽がくい、とひっぱる。

  花澄    :「ん?なあに、ゆず?」
  譲羽    :『くまさんがね、なんか言ってるの』
  花澄    :「?」

  目を上げると、部屋に住みついたクマだの猫だのが、わらわらと
近寄ってきている。

  花澄    :「なあに?」
  ぬい1  :「あかちゃんに、したら?」
  花澄    :「は?」
  ぬい2  :「うまれるまえの、あかちゃん」
  ぬい3  :「きつねさんの、あかちゃん」
  花澄    :「…………(ぽむ)」

  生まれる直前、まだ確固とした意識の無いきつねぬい。
  それならば、後から入れられる使い魔の意識と、ぶつかることもあるまい。

  花澄    :「よし、じゃ、そうしよう(笑)」

  一度決めると、後は早い。毛並みを確かめながら、花澄は布を切り出した。

  と、いうわけで、数日後。

  花澄    :「はい、これ……なんですけど、宜しいですか?」
  剽夜    :「手乗り狐ですか」

  金茶色の背中の毛並み、胸と尻尾は真っ白の。

  花澄    :「あの……ただ、このきつね、まだ生まれてないんです」
  剽夜    :「……はあ?」
  花澄    :「使い魔さん、ですか?それが入って初めて生まれるので」
  剽夜    :「はあ」
  花澄    :「ですので、宜しくお願いします(深々)」

  そして確かに。
  「宜しくお願いします」だったのである。
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  てなわけで。

  何となく、ぶっ切れている気もしますが……(汗)
……まあ、本人がぶっ切れておりますので(爆)

しかし、本体共々、初めて作るぬいを、人に渡すし(爆)

  いー・  :「あ、でも、失敗したら作り直す気ではいたぞ(威張りっ)」
  花澄    :「……そこで威張らないの(呆)」

 更毬さんの口調が、いま三くらいは分かっておりませんので(をい)
訂正、修正、等等、宜しくお願いします。

でわっ。

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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