Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Sun, 16 Feb 1997 18:42:12 +0900
From: "田中久美子" <fwhs3290@mb.infoweb.or.jp>
Subject: [KATARIBE 15] RE: HA:970216
Sender: owner-KATARIBE@po.teleway.or.jp
To: <KATARIBE@po.teleway.or.jp>
Message-Id: <199702161145.UAA17239@mb002.infoweb.or.jp>
X-Mail-Count: 00015
田中 久志
どうも、ようやっとMLがわかってきました久志です。
えーと、ちょっと書いてみました。
エピソード『本宮君の憂鬱』パート2
============================
金曜日、いつものように本宮・佐古田はフラナの家に遊びに来ていた。
でも、いつもとちょっと違うのは、三人のまとめ役の本宮がいつになく沈み込んで
いたことだった。
本宮:「……」
慎也先輩、水島さん…本宮の頭の中を二つの単語が渦巻いていた。
やっぱり、付き合ってるんだろう…あの二人は。
フラナ:「もーとみぃ」
本宮:「……」
フラナ:「ねーぇ、もとみー…」
本宮:「…何だ」
フラナ:「もとみー、元気だしてよぉ」
本宮:「ああ、心配すんなよ」
佐古田:「……(おもむろにスローテンポのバラードを弾き出す)」
本宮:「……」
慎也先輩、水島さん…。俺が水島さんを想ってるってことは、必然的にあの二人
の間に割って入るって事になる。
割って入る?俺が?
本宮:「できるかよ…そんなの…」
頭を抱え込む本宮。しばしそのまま時が流れる。
しばらくして、遠慮がちにフラナが話し出す。
フラナ:「もとみー。まだ…緑さんからは何も聞いてないよ。そんなに悩まなくた
って…」
本宮:「…ほっといてくれよ…。今更…何を聞くんだよ…」
うつむく本宮。フラナは表情を固くし調子を強めて、もう一度話し出す。
フラナ:「…もとみー」
本宮:「……」
フラナ:「もとみー」
本宮:「何だよ」
フラナ:「もとみーって、好きな人できても、自分から好きだって言わないね」
本宮:「フラナ?」
フラナ:「いつも、自分の中だけで片付けちゃって。結局自分の事どう思ってるか
って聞いたことないでしょ。そんなの…ずるいよ」
本宮:「……フラナ」
フラナ:「もとみーのバカバカバカ!意気地なし!弱虫毛虫!あたって砕けるのが
やなんだろぉっ!」(ぽかぽかぽかぽか)
本宮:「フ、フラナ……」
普段は怒った顔など見せたことのないフラナだけに、本宮は驚きの表情を隠せな
かった。
別段、叩かれても痛くはなかったが、それ以上に、心が…痛かった。
本宮:「フラナ…ああ…そうだよ。嫌だよ…。でも…それが…悪いのかよ」
フラナ:「もとみーのばかぁばかばか。わからずやぁ」(ぽかぽかぽかぽか)
本宮:「フラナ……」
どん!不意に大きな音が部屋に響いた。
本宮・フラナ:「!?」
佐古田:「…………」
テーブルの上に、どこに持っていたのかサントリーゴールドが置かれている。
佐古田はビンをしっかり持ち、無言で二人を見つめている。
佐古田:「……」
本宮:「さ…佐古田…。おまえ…一体」
フラナ:「佐古田……」
佐古田:「飲むぞ…」
本宮:「おい…佐古田?」
佐古田:「飲むんだ」
佐古田の目が完全マジになってる。
フラナ:「佐古田……よしわかった、飲もう!」
本宮:「おい、こら、ちょっと待て。何かが違うぞ」
本宮が慌てるのも目もくれず、コップと氷、つまみを用意する佐古田。フラナも
すっかり乗り気になってる。
フラナ:「もとみー、こーいう時は飲む!飲むったら飲む」
佐古田:「飲め」
完全マジな目で無表情にコップを差し出す佐古田。
本宮:「………わかった」
受け取ったコップになみなみと酒をつぐ佐古田。フラナもそれに習う。
フラナ:「もとみー、頑張れ、応援するぞ。略称MGO結成記念で乾杯っ」
本宮:「おい、勝手に…何を…」
佐古田:「乾杯だ…」
本宮:「…か、乾杯」
佐古田の勢いに押され、いきなり飲み会に突入。三十分立たぬうちに全員できあ
がっていた。
フラナ:「ほらいけぇ、もとみーぃ。がつーんといけぇぃ。負けるなぁっ、ごー」
本宮:「ま、待て。おまえはもーやめとけ。明日死ぬぞ」
佐古田:「かまわん、そのための休日だ。本宮、飲め」
本宮:「佐古田、おまえ……もう知らんぞ俺は」
一時間後、フラナがダウン。今はソファで寝息をたてている。
一番騒がしい奴がダウンしたため、本宮・佐古田の二人で静かな飲み会になって
いた。
本宮:「散らかしたなぁ、まったく」
佐古田:「……」
せかせかとあたりを片付ける本宮、相変わらずコップをあおる佐古田。
佐古田:「本宮…」
本宮:「ん、なんだ」
佐古田:「あいつもあいつなりにおまえの事を心配しているんだ」
本宮:「分かってるさ…、俺だって」
佐古田:「おまえがずっと悩んでるの見てて。見てるだけでなんの力にもなってや
れないっていってたぞ」
本宮:「フラナの奴…」
佐古田:「本宮、おまえホントの所どうしたいんだ。水島さんと慎也先輩の事」
本宮:「俺…か」
佐古田:「別に自分から身を引くのが悪い、とは言わん。おまえ自身が納得してい
れば、な」
本宮:「…俺は……多分、まだ…あの人の事が…好きだと思う」
佐古田:「だったら、そのままいけよ、まっすぐに。それでだめだと納得したら、
あきらめもつくだろ」
本宮:「ああ、…そうだな、そうなんだよな。……サンキュ佐古田」
佐古田:「礼を言われる程の事じゃない」
本宮:「ひねくれてんな…おまえは。も少し飲むか」
まだコップをあおり続ける佐古田。本宮も無言で酒をつぐ。フラナは相変わらず
ぐっすり寝てた。
翌日、地獄のような二日酔いが三人を襲ったのはしるすまでもない。
==================================================
高校生だろ、おまいらは(笑)
ともあれ、これから本宮君のアプローチ開始ですな。